有給休暇「取り放題」、注意が必要な訳Photo:Crispin la valiente/gettyimages

 米国では企業がさまざまな方法で従業員の効率性を高めようとしている。「無制限」の有給休暇(PTO)を与えておけばいい、との見方も広がっている。

 そう、その通り。

「無制限PTOというのは素晴らしく聞こえる」。技術営業に携わってきたカール・ギーゼ氏(35)はそう話す。「だがまったく空虚だ。怖くて使えないのだから」

 効率化の動きはあちこちで見られる。企業は社員を解雇したり、オフィス勤務への復帰を呼びかけたり、就業規則違反の取り締まりを強化したりている。

 無制限PTO制度の採用も広がっている。米国の人材マネジメント協会(SHRM)によると、休暇取得に上限を設けていない企業は現在は全体の7%を占める。この割合は、企業が高給や充実した福利厚生で人材確保に躍起になっていた2022年よりも1ポイント高い。無制限PTO導入の割合は2014年は1%だった。

 無制限PTOの導入拡大に伴い、従業員は実際にどの程度休暇を取得できるかということについて関心が高まっている。それは多くの場合、社員がどれだけ仕事ができるか、また、企業文化や、社員が同僚らにどう思われるかを気にするかどうかに左右される。無制限PTOを提供している企業の割合は比較的少ないものの、この特典とそれについて多くの労働者がどう感じているかは、ワークライフバランスの現状についての議論にもつながる。