日々のコミュニケーションで苦戦苦闘している日々は、今日で終わりです。これからは、説得しようと力業で勝負する必要はありません。自ら動くのではなく、相手に動いてもらい、自分の思い通りの結果に導けばいいのです。それを可能にしたのが、『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』です。「トップセールス」の実績を持つ「メンタリズム日本一」が生んだ至極のコミュニケーションスキルが詰まった一冊。本書では、限りなく「ホワイト」で徹底的に磨かれたノウハウを網羅していますが、本連載の今回からは本の性格上、収録しなかった禁断のテクニックを紹介する。使うか使わないかは、自己の判断に任せます。
その言葉、言ってはいけない!
人は誰でも褒められると嬉しいもの。もし褒める機会があれば、積極的に褒めておくのが得策です。褒め上手な人ほど、人間関係をスムーズにし、信頼を得ることができます。しかし一方で、「褒めたつもりが、逆効果だった」という残念なケースもあるのです。じつは、褒めるのが苦手な人に共通する「言ってはいけない」フレーズがあるのです。
褒めたつもりが逆効果になる「無意識の偏見」
本人に悪気がなくても、言われた側がモヤモヤしたり、不快に感じたりすることがあります。こんな褒め方をされたらどうでしょうか。
「男の人なのにお花に詳しいんですね。すごい!」
なんだか、モヤっとしませんか。他にも、「女性なのにバリバリ働いていて偉いですね」「営業なのに数字に強いんですね」「派遣なのに正社員より仕事ができるね」など。
一見、褒めているように見えますが、「○○なのに」という言葉が加わることで、「○○は通常そうではない」と決めつけている印象を与えてしまいます。こうした「無意識の偏見」が見え隠れすると、褒められた側は素直に喜ぶことができません。
「私って、そう見られているの?」と、モヤモヤした気持ちを抱かせてしまうのです。
褒め上手は決めつけない
では、褒め上手な人はどのような言葉を使っているのでしょうか。よく使うのが、「よく○○って言われませんか?」というフレーズです。たとえば、こんな言い方をしてみましょう。
「先輩って、よく教え方がうまいって言われませんか?」
日本人は謙遜を美徳と感じる人が多く、ストレートに「先輩の教え方、すごくうまいですね!」と言われると、「いやいや、そんなことないよ」と否定しがちです。
しかし、「よく○○って言われませんか?」という聞き方をすると、「教え方がうまい」と決めつけていないため、相手も自然に受け止めやすくなります。その他の褒め言葉をいくつか紹介します。
「よく気が利くって言われませんか?」
「よく段取り上手って言われませんか?」
「よく清潔感があるって言われませんか?」
このように、決めつけではなく、「私はそう感じたんですけど、違いますか?」というニュアンスで伝えるのがポイントです。この褒め方は、誰にでもある程度当てはまるような言葉を使うことで、「そういうとこあるかも」と感じさせる「バーナム効果」という心理現象を応用したものです。
「よく○○って言われませんか?」というフレーズは、相手にとっても「確かに、そんなこと言われたことあるかも」と思わせやすく、受け止めやすいのです。
また、この言い方の利点は、「褒める」のではなく、「自分の感想を伝えているだけ」という点にあります。これにより、押しつけがましくなく、相手に自然に受け取ってもらえるのです。もし相手が「いや、そんなことないですよ」と謙遜した場合、そこで話を終わらせず、次の一言を加えると、より自然に褒めることができます。
「でも、先ほど○○されていましたし、皆さんもそう思っているんじゃないですかね」
こう続けることで、さらに自然に褒めることができます。この方法なら、「あなたはこういう人です!」と決めつけることなく、さりげなく相手を持ち上げることができるのです。
褒めることは、単なるお世辞ではなく、相手との距離を縮め、信頼を築く大切なスキルです。誰かを褒めるときには、「○○なのに」と言いたくなったらグッとこらえ、「よく○○って言われませんか?」に変えてみてください。あなたの褒め方が一段レベルアップし、より円滑な人間関係を築けるはずです!
バーナム効果を使用した褒め方を紹介しましたが、相手の印象をコントロールする技術は『「8秒」で人の心をつかむ技術』でより詳しく紹介しています。トップセールスのワザと、メンタリズムのノウハウを掛け合わせた最強のコミュニケーションスキル。相手と距離を縮めるために、心理技術を応用してみましょう。
(本原稿は、書籍『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』著者の書下ろしです。)