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採用面接では「素直な人」が求められるのに、なぜ仕事ができる上司ほどあえて「生意気な若手」を高く評価するのでしょうか。実は彼ら、単に「反抗的な若手」と「骨がある若手」を一瞬で見抜いています。その評価を真っ二つに分ける“決定的な境界線”とは?あなたのその意見、ただの反抗だと思われていませんか?(人材研究所ディレクター 安藤 健、構成/ライター 奥田由意)
素直な人が欲しい…
ベテランと若手が大激論
私は、採用コンサルティングの仕事をすることがあるので、現場でよく「どんな新卒を採りたいですか?」という質問をします。採用基準を明確にしてから、そういう人材をどうやって集め、見極めていくかをコンサルティングしていくのですが、驚くほど多くの企業が口を揃えて「素直な人材が欲しい」と答えます。特に物流会社や建築事務所など、「男社会」が色濃く残る現場ではその傾向が一層強いと感じます。
ところが、実際にその現場で一定期間仕事をしてみると、興味深い光景を目にすることがあります。素直な人材を求めているはずの会社で、50代、60代ぐらいの大ベテラン社員が、新卒3年目ぐらいの若手社員を相手に、時に怒号を飛ばしながら厳しく指導している。それに対して、若手は言うことを聞くどころか、「私はこう思うんですけど」と食ってかかっているのです。外部の人間からしてみれば、今時、パワハラだと言われてもおかしくない様相を呈しているため、思わずハラハラしてしまいます。
ある建築事務所では、容貌のいかついベテランが、若手に大声で「だからこれはこうだって言ってるじゃないか」と執拗に声を上げ続けていました。若手は、それに対して、「いや、それでは納得できません」と負けじと反論し、「この見積もりの根拠はなんですか。僕はこうだから、こうなるはずだと考えて、こうしました。どうして、現場では、いつもこうしているんですか、おかしくないですか」とあくまで食い下がります。
二人はオフィスをぐるぐる歩き回りながら、まるでぶつかり稽古のように、怒鳴り合いに近い議論を続けています。別の社員に「あの二人、大丈夫なんですか?」と聞くと、「いつもあの調子でやり合っていますが、じゃれているのと同じで、結構よく飲みに行っているんですよ」と言う答えが返ってきました。しかも、他の人がその若手のことを悪く言ったりすると、ベテランは必ず「まあ、そう言うな。あいつは骨がある」とフォローするというのです。







