賃上げ率は大企業優位も「平均賃金の伸び」は中小企業が“逆転”、乖離に見える春闘の真の課題2025年春闘の闘争開始を宣言し、気勢を上げる連合の芳野友子会長(中央)ら=2月6日午後、東京都千代田区 Photo:JIJI

春闘賃上げ率、4.6%!?
昨年並みの高賃上げ予想だが

 2025年春闘が本格的にスタートし、今年も政労使三者がそろって賃上げに前向きな姿勢で臨む「異例」の展開がみられる。

 石破茂首相は1月24日の施政方針演説で「『人財尊重社会』における経済政策にとって、最重視すべきは賃上げです」と述べ、今春闘での大幅賃上げを促すことを表明した。

 これに先立つ1月22日の労使トップ会談でも、双方が賃上げの重要性を確認したうえで、今年の焦点は中小企業に賃上げの流れが広がることだという共通認識を示した。

 今春闘の具体的な賃上げ率に関しては、労務行政研究所が毎年行っている、労使の当事者および労働経済の専門家の見通しのアンケート集計で、大手企業(東証プライム上場クラス)は4.6%と予想されている。昨年の春闘賃上げ率は大手企業ベースで5%台と33年ぶりの高さになったが、その流れは今年も続くという見方が共有されている形だ。

 そうしたなか、春闘の賃上げの焦点は労使トップの共通認識の通り、中小企業にまで賃上げが広がるか、であることは間違いない。

 だが、このところの大手と中小企業の賃上げでは、賃上げ率では大手が高いのだが、1人当たり名目賃金の伸びは中小の方が高いという一見、奇異な現象がみられる。

 この乖離(かいり)は何を示すのか。日本の経済活性化の鍵になる問題が示されている。