
イボンヌ・キンデルさんは、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートへの旅行を何年も考えていた。昨年11月、ついに家族4人で訪れる機会を得た。
デラウェア州ベアの銀行でコンプライアンスを担当するキンデルさんは、特に最近の値上げ後の料金に衝撃を受けた。2日分のパークチケットが1123ドル(約17万円)。人気アトラクションの待ち時間短縮パスが208ドル。ドナルドダックやデイジーダックなどキャラクターとの食事が219ドル。ミッキーマウスのシャボン玉が吹き出るバブルワンドが2本で60.68ドル。
「どれだけお金を使ったのかを考えるのがとてもストレスだった」とキンデルさんは話す。倉庫の運転手である夫と2人で全額を支払ったわけではないのに、だ。10歳と4歳の子どもたちの宿泊費と航空券はキンデルさんの両親が負担した。自己負担額は3000ドルだった。
再訪の予定はないという。
「この世で最も幸せな場所」は、多くの米国人にとって最も高額な場所のように思われてきた。だが、魔法のような家族旅行に引かれ、来園者は途切れることがなかった。コロナ後の需要が急増すると、ディズニーは値上げを加速させ、多くの米国人家族にとってディズニーのテーマパーク旅行が手の届かないものとなった。ここ数年で来園者数の伸びは鈍化し、かつての常連の中にも「巡礼」を取りやめる家族が出てきている。
ディズニーランドの1日大人パスは昨年10月に初めて200ドルの大台を突破。最も人気の高い日は現在206ドルで、最安値の日の入園料より100ドル以上高い。
5年前、待ち時間短縮のファストパス(現在はライトニングレーンパス)は無料だった。現在、来園者は3段階のパスから選択する必要があり、最も高額なものは1人1日449ドルに達する。ライトニングレーンなしでは人気アトラクションで1時間以上待つことになり、時間を浪費することになる。 ディズニー社内では、同社が値上げに依存するようになり、中間層の米国人が負担できる限界に達したと懸念する声が上がっている。同社でパークの料金設定に携わった複数の関係者はそう話す。ディズニーのパークが幼い子どものいる家族の心と財布をつかみ損ねているのではないかという議論が社内で増えていると、これら関係者の一部は明かした。