それでも残る経営コンサルへの嫌悪感

 数字データに関しては、まず経営コンサルタント業の母数を把握したい。総務省・経済産業省が発表した「令和3年経済センサス‐活動調査 産業別集計」には、「経営コンサルタント業,純粋持株会社」で1万7521事業所と記載がある。同様に、企業検索サービス「baseconnect」β版では1万5823件となっている。

 計算の過程は省くものの、1万5823件を分母とし、「24年の154件」「23年の143件」をZ検定(正規分布を用いる統計学的検定法)してみると、有意な差ではなかった。

 一連の流れを、筆者の妻に話してみた。共感を得たかったのに、それどころか「統計的に意味がないって主張すること自体が意味ないでしょ」「コンサルが過去最多で倒産したって話そのものを楽しみたいんだから」と言い返されてしまった。

 なるほど……。筆者が思うに、コンサルティング業が嫌われる理由が二つある。

1.「よく分からない仕事」に高い報酬が支払われることへの反発
 多くの人がコンサルに対して抱いている印象の一つに、「いったい何をやっているのか分からないのに、高給をもらっているらしい」というのがあると思う。近年はトップ大学からコンサルティング会社に就職する若者も多く、「新卒が何をアドバイスできるんだ」と批判する声もある。

 コンサルタントの基本は、戦略書という名の資料をまとめ、経営陣や社員に助言や提案するのが仕事だ。一般的に、「見えにくい価値」は理解されにくい。また、実際の現場では成果物が細かく定義されている。成果報酬の場合は条件が事細かに決まっている。しかし、そうした現場の実態を知らなければ、ふわふわした助言料のように感じるのだろう。

2.「口先だけ」だと思われがちな風評
 コンサルタントは「口先だけ」と揶揄(やゆ)されがちだ。実際はヒアリングや調査、分析など地道な作業が大量にあるのにもかかわらず、はたから見ると、「パワーポイントで資料を作るだけ」「偉そうに語るだけ」に見えるようだ。

 これは東京商工リサーチの発表にもあったが、コンサル業界の参入障壁は、高くはない。関連する唯一の国家資格として「中小企業診断士」があり取得は難しいが、コンサルタントを名乗るだけなら免許も資格も必要ない。実際に、何の実力も伴わないコンサルタントも多い。そういった事例が目に付きやすいため、口先だけなるイメージが広がるのだろう。

 だから、「虚業のくせに」と反感を持たれる。筆者からすると、「コンサルタントが口先だけで儲かると思うなら、ご自身もやってみたらどうですか」と質問したいところだ。実際、「そんな虚業に興味がない」と返答されたこともある。自分が興味もないものを批判するのに時間を使うなんて、実に人生の無駄だと思うのだが。