農林中央金庫が2024年度、1.9兆円の最終赤字に沈むことの農協への影響はさすがに大きかった。ダイヤモンド編集部の独自企画「JA赤字危険度ランキング」で、190農協が赤字に転落することが分かった。減益の影響が大きい「ワースト20」の農協をリストアップしたダイジェスト版をお届けする。43億円もの赤字に陥る試算結果が出た大規模農協とは。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
農林中金が1.9兆円の赤字で
190JAが赤字転落の衝撃試算!
「全国の農協の半分が赤字になるのではないか。それだけ大変なことだ」。JAしまねの石川寿樹組合長は2024年6月の総代会で、組合員らを前に、農林中央金庫の巨額損失の農協への影響についてそう語った。
ダイヤモンド編集部が、農協の損益を試算したところ、石川組合長の懸念が決してオーバーなものでないことが分かった。
その要因は大きく三つ、(1)農林中金からの配当額の激減、(2)共済(保険)事業の減益、(3)職員の人件費の高騰――である。
以上の三つの要因から5年後の全農協の減益想定額を算出したところ、年間1619億円に上ることが分かった。
さらに、ダイヤモンド編集部は全国461JAの財務データを入手し、合計1619億円の減益で農協ごとにどの程度経営が悪化するかを試算した。すると、190JAが赤字に転落することが判明した。
次ページでは、全国461JAのうち5年後の減益インパクトが大きい農協ワースト20を公開する。