ワースト1位は長崎県JA対馬
22億円超の不正流用事件の後遺症

 JA赤字危険度ランキングのワーストは、長崎県のJA対馬だった。被害額が22億円超にまで膨れ上がった共済の不祥事を職員が起こし、経営危機に陥った農協だ(詳細は特集『JA陥落 農業沸騰』の#3『18億円搾取の農協保険トップ営業、対馬の海に沈む…JA共済連の無責任体質が露呈』参照)。

 2~4位は、JA京都、JA京都にのくに、JA京都やましろだった。いずれも本業の農業関連事業の収益性が低く、共済事業と農林中金の配当に依存していたことが響いた。

 JAグループ京都のトップを約30年にわたって務める中川泰宏氏は、全国の農協の共済事業の大元締めであるJA共済連の副会長を兼務し、府内の農協で強力に共済を推進してきた(詳細は特集『農協の大悪党 野中広務を倒した男』参照)。京都の農協のドンといわれる中川氏は、共済に依存する農協の経営を改革できるのか。その道筋を描けないならば、早急に新しい農協のリーダーに実権を譲るべきだろう。

 JA京都やましろと、7位の岩手県のJAおおふなとは、人材流出に直面している。前者は23年度に前年比で職員が10%減、後者は同12%減となっているのだ(詳細は本特集の#8『【JA人材流出深刻度ランキング】農協役職員248人中5割超が「危機的」とする人材流出、採用難の実態…“自爆営業”の後遺症が露わに』〈3月9日配信予定〉参照)。

 農協が、次の稼ぎ頭となる事業を見いだして、経営の持続可能性を示せなければ、優秀な人材の採用は難しく、離職を止めることはできないだろう。

 461農協の経営状況を網羅した「JA赤字危険度ランキング完全版」については、特集『JAグループ崩落』の#6『【JA赤字危険度ランキング・全461農協】農林中金1.9兆円赤字ショックで190組合が赤字転落…ワースト2位はJA京都、1位は?』で、試算の方法も含めて詳報している。

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>>完全版『【JA赤字危険度ランキング・全461農協】農林中金1.9兆円赤字ショックで190組合が赤字転落…ワースト2位はJA京都、1位は?』を読む