それにもかかわらず、金融機関の窓口では、「長期なら、リスクは低くなるのでお金が増える可能性がありますよ」という説明をするわけです。

 繰り返しますが、なぜ目先の大暴落さえ予測できないのに、「20年なら大丈夫」などと、言い切れるのでしょうか。「世界経済は長い目で見たら右肩上がりになる」というのは、金融庁をはじめとした金融機関の希望的観測でしかないのです。

「つみたてNISA」も
商品が終了するリスクあり

 ここで覚えていただきたいのは、もしかしたら20年以内に消滅してしまう「投資信託」があるかもしれないということです。

 皆さんは、「投資信託」の「繰上償還」を知っていますか?

 そもそも投資信託は、皆さんから預かったお金をまとめて株式や債券に投資して運用します。

 しかし、仮に多くの人がその投資信託を解約し、投資できるお金が減って効率的な運用ができなくなったら、信託期間が無期限のものや償還日前のものでも、投資信託の運用そのものを終了してしまうことがあります。

 これが、繰上償還です。販売会社から投資信託を買った人に、その旨の通知が届きます。

 つまり、自分の保有する投資信託が含み損になっていても、マイナスのまま解約しなくてはならなくなる可能性があるかもしれないということです。

 自分は長期投資するつもりでいても、投資信託のほうが先に「逝ってしまう」ことも起こりうるのです。運用成績が悪ければ、「つみたてNISA」で買った投資信託でも繰上償還することがあります。

お金が返ってこない事態でも
国はあなたを守ってくれない

「つみたてNISA」をスタートする際にもらう「投資信託説明書(交付目論見書)」には、次のような留意点が書かれています。

 ファンドは、大量の解約が発生し短期間で解約資金を手当てする必要が生じた場合や主たる取引市場において市場環境が急変した場合等に、一時的に組入資産の流動性が低下し、市場実勢から期待できる価格で取引できないリスク、取引量が限られてしまうリスクがあります。これにより、基準価額にマイナスの影響を及ぼす可能性、換金申込みの受付けが中止となる可能性、既に受け付けた換金申込みが取り消しとなる可能性、換金代金のお支払いが遅延する可能性等があります。(「三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド」の「投資信託説明書」)