金融機関の表と裏を知り尽くす著者曰く、金融機関の窓口では、ネット証券よりもコスト高な金融商品を勧められるケースが多々あり、それらのほとんどはシニア世代にとって必要がないものだったり、運用するには非効率なものだったりするという。シニア世代が「やらなくていい」投資商品をつかまされないために必要な心構えとは?本稿は、西崎 努『やってはいけない資産運用 金融機関のカモにならない60歳からの資産防衛術』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。
シニア世代は「やらなくていい投資」
ばかりやっている
「本当にこれでよかったのだろうか...」
私のところにご相談に来られる方の中には、自分で決めたはずの資産運用について、なんとも言えない不安を抱えているシニア世代がたくさんいます。
金融機関(銀行や証券会社)と相談してお金を預けてはみたものの、時間が経つにつれて心配になってくるのです。この不安の原因は、なんなのでしょうか?金融のプロに相談してきたはずなのに、なぜモヤモヤしたものが消えないのでしょうか。
私が運用状況について詳しくお聞きすると、答えはすぐにわかります。ご本人の希望や目的とは、まるでかみ合わない商品やサービスばかり。簡単に言えば、知らない間に「いらない投資」をやってしまっているのです。
多くの人が「自分は変な商品には引っかからない、騙されない」と思っています。
しかし本人が希望する運用と、実際に提案されて買った商品がズレていることは、実は頻繁にあります。どんなに「ちゃんと説明してもらった」と思っていても、肝心な部分の説明が不十分であることは珍しくありません。
例えば、60歳以上の方が、こんな意向を持っているとします。
「退職金が入るが、どうしたらいいか」
「ただ貯金しておくのはもったいない」
「無理はしたくないが、運用で増やせるなら増やしたい」
要するに、そんなに大儲けしたいわけではないが、安定運用したいということです。ごく一般的な希望だと思います。
すると金融機関の窓口にいる担当者は、ひと通り話を聞いたうえで「それならこれがいいと思います」と、無数の商品の中から、さもピッタリなものを提案してくれるでしょう。気になったことを質問すればスラスラと答えてくれるはずです。