
経済ジャーナリストの荻原博子氏によれば、多くの人がもらい損ねているお金があるという。その一例が「加給年金」や「企業年金」である。このような老後に取りこぼさないお金の知識を解説しよう。本稿は、荻原博子『65歳からは、お金の心配をやめなさい 老後の資金に悩まない生き方・考え方』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。文中の記述は、2024年12月末時点の情報を元にしています。
65歳以上の人は「加給年金」を
もらえるか要チェック
会社をリタイアし、収入が年金だけになってしまったら、ほんとうに生活していけるのだろうか。
老齢年金のほかに、次のような公的な制度をフル活用すると、年金が増えます。
あなたが65歳以上なら、まずは「加給年金」をもらえないかチェックしましょう。
厚生年金に加入していた会社員が年金をもらえる65歳になった時に、配偶者や子どもなど扶養する家族がいれば、加給年金という家族手当のような年金をもらえる可能性があります。
次の「受給条件」と「加給年金の対象者の条件」を満たしているかどうか、ご確認ください。さらに、受給のためには申請が必要なのでお忘れなく。
・20年以上厚生年金に加入している。あるいは(共済組合などの加入期間を除いた)厚生年金の加入期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年以上。
・本人が65歳になるか、あるいは定額部分支給が始まる時点で、扶養する配偶者や子どもがいる。
・扶養する配偶者が、65歳未満であること(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません)。
・子どもが18歳到達年度の末日まで(1級・2級の障害の状態にある場合は20歳未満)。
・戸籍上の夫婦だけでなく、事実婚のパートナーであっても、「事実婚関係及び生計同一関係の申立書」を提出すれば対象になる。
定年後に年下の妻がいたら
年金が出る?
配偶者の加給年金は、年間23万4800円(2024年度)です。さらに、配偶者が65歳未満なら「特別加算」が上乗せされます。
たとえば、受給権者が昭和18年4月2日以後に生まれた場合の配偶者加給年金額の特別加算額は年間17万3300円(同)です。もし60歳になる配偶者がいたら、加給年金額+特別加算額=40万8100円になります。
65歳になるまで5年間受給すれば200万円を超えますから見逃せません。注意しなくてはいけないのは、この場合の加給年金は、夫の「老齢厚生年金」(注1)についているもの。
注1 厚生年金保険に加入していた方が受け取る年金で、給与や賞与の額、加入期間に応じて年金額が計算されます。