「真面目に仕事をしているのに、なぜか上司に評価されない…!」
あなたも、自分より能力が低い人がなぜか上司から高く評価されていて、イラッとした経験があるはず。ではこのような「なぜか評価される人」の“戦略”を、あなたは知っているだろうか。『雑用は上司の隣でやりなさい』は「周りに実力を“評価させる”戦略」を初めて言語化したロングセラーだ。発売直後から賛否両論を巻き起こし、「よくぞ言ってくれた」「暗黙知が“言語化”されている」「今まで気づいていなかった“新事実”」など大反響が集まっている。そんな「職場で実力を適切にアピールする“見せ方”の技術」をまとめた本書の中から「出世する人/しない人の特徴」についてお伝えする。

頭が悪くても、「出世はできる」
あなたの勤める職場の同僚を数人思い浮かべてみてください。その人たちを「A:社内で高く評価されている層」と「B:どちらかというと評価が低い層」の2つのカテゴリで半々に分けてみてください。
ここで質問ですが、高く評価されている人たちは全員高学歴で頭がいい人たちでしょうか。「評価が低い高学歴の人」がいるのではいないでしょうか。おそらく、綺麗に学歴順に高く評価されている、ということはないと思います。僕が勤めるメガバンクでもそうです。学歴が高く、ペーパーテストや資格試験で優秀な成績をおさめているからと言ってそれが社内評価に直結しているケースは少ないです。
残念ながら、頭が悪い人はそれだけで社内の出世競争で不利であることは否定できません。しかし、それだけで出世ができないかと言うと大間違いです。むしろ、ペーパーテストの結果も低く、難しいことは何一つ理解できないいわゆる頭が悪い人でも出世をしていることがあります。今回は、「頭が悪いのに出世する人」は何をしているのか、そのテクニックについて解説します。
「頭が悪い」には種類がある
さて、まずは「頭が悪い」とは何なのか考えてみましょう。あなたは仕事で頭が悪い人と聞いてどんな人をイメージするでしょうか。勉強ができない、事務ができない、計算ができない、もの覚えが悪い、難しいことができない、物事を深く考えない、などでしょうか。もしかしたらこれ以外にも思い浮かぶことがいくつもあるかもしれません。
この通り、頭が悪い要素というものは多岐にわたります。頭が悪い人はこれらの要素を全て網羅しているのではなく、いずれかに該当する人を指します。
ではもし仮に、あなたの友人がこれらのいずれかに該当するいわゆる頭が悪い人だったとして、その友人が「出世をしたい」と言ってきたらどうアドバイスするでしょうか。まずは頭が良い人になろうと言うでしょうか。そんなことはできないですよね。勉強ができない人に一言アドバイスした途端に勉強ができる人になるのであれば苦労しません。
頭が悪いなら、助けてもらえばいい
では、頭が悪いのに出世している人はどうしているかというと、答えは非常にシンプルで「自分の頭の悪さを自覚している」のです。そのうえで、弱い部分があるのであれば、補えばいいのです。
実は、こと仕事においては「頭が悪いこと」は他のスキル(例えば英語ができない、事務ができない、計算ができない)などと本質的には一緒です。
たとえば、自分の理解力に課題があれば理解力の高い同僚に解説してもらう、事務ができないなら事務が得意な同僚の協力を仰ぐ、計算ができないなら計算が得意な同僚に代わりに計算させる、など、様々な対策がありますよね。テストなら自分で問題を解かないといけませんが、仕事であればこのような方法を通じて自分の頭の悪さという弱点を補完できるのです。
頭が悪いのに出世している人は、自分の頭の悪さを「苦手分野の一つ」程度ととらえ、できるだけ人に頼るようにしています。そしてその代わりにその人の得意分野で、自分の力を発揮するようにして出世への道をつかんでいるのです。
(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』に関する書き下ろし原稿です)