他の調査でも中国の大学は
アメリカと並んで世界トップクラス
U.S. News以外のランキングを見ると、異なる結果もある。これらについて、IREG Observatory on Academic Ranking and Excellenceがさまざまなランキングの結果を要約している。それによると、AI分野のトップ20校の国・地域別分布は、次の通りだ。
・調査名:University Ranking by Academic Performance (URAP): Artificial Intelligence 2023-2024
中国(12)、アメリカ (3)、シンガポール(2)、オーストラリア(1)、スイス(1)、イギリス(1)
・調査名 EduRank: Artificial Intelligence 2024
アメリカ(15)、イギリス(3)、カナダ(1)、中国(1)
・調査名 QS: Data Sciena and Artificial Intelligence 2024
アメリカ(10)、イギリス(3)、香港(2)、シンガポール(2)、スイス(2)、カナダ(1)
このように調査によって、アメリカやイギリスの大学の数が多い結果になっているものもあるが、どのような指標を取り、どのようなウエート付けをするかで結果が大きく違うのは、当然ともいえる。
ただ、AI分野での中国の大学教育体制が、アメリカと並んで世界トップクラスであることは間違いない。
(注1)Best Global Universities for Artificial Intelligence、June 24, 2024
AI分野の研究機関トップ3は
Google、スタンフォード大学、精華大学
では、AI分野での研究機関と、そこで活動する研究者の状況はどうなっているか。
これについて、アメリカ、ポールソン研究所のシンクタンク「マクロポロ」が、興味深いレポートを発表している(注2)。
マクロポロのレポートは、まず一流のAI研究のトップ25機関を示している。
第1位がGoogle、第2位がスタンフォード大学だ。これは2019年も22年も変わりがない。ただし、第3位は、19年にはカーネギー大学だったが、22年には清華大学になっている。そして北京大学が22年には第6位に入っている。
国・地域別分布を見ると次の通りだ。
アメリカ(15)、中国(6)、イギリス(1)、スイス(1)、シンガポール(1)、香港(1)
なお、残念ながら日本は研究機関でもゼロだ。
(注2)The Global AI Talent Tracker 2.0
在米トップクラス研究者
中国人出身者が47%を占める
AIのトップクラスの研究者が勤務する国は、19年にはアメリカが全体の65%だったが、22年には57%と若干低下している(注3)。しかし、世界一であることに変わりはない。第2位は中国で、19年の10%から22年には12%に増えた。
もっと大きな変化は、トップクラスの研究者の出身国だ。19年にはアメリカ35%、中国が10%だったが、22年にはアメリカ28%、中国26%になった。つまり、中国出身者の比率が大きく上昇した。
アメリカの研究機関だけを見ると、中国の出身者は19年の27%から22年には38%に増えた。そしてトップクラスのAI研究者だけについて見ると、中国が出身国である比率は、19年の29%から47%に増えた。
つまり、アメリカの研究機関の水準は高いが、それはアメリカで学位を取った人だけに支えられているのではなく、半分近くは中国で学位を取った人によって支えられていることになる。アメリカの高度なAI研究は、中国での教育によって支えられているわけだ。