
日本酒「獺祭」を世界的なブランドに育てあげた旭酒造。6月1日から社名を(株)獺祭に変更する。会社名とブランド名を一致させ、「売上高1000億円が目標。そのうち海外が700億円」と表明した覚悟とは。陣頭指揮を執る桜井博志会長に、リーダーシップについて語ってもらった。(旭酒造代表取締役会長 桜井博志、構成/石井謙一郎)
組織には「2・6・2の法則」がある
仕事ができない2割は放っていい
どんな場合でも組織のリーダーは、メンバー全員に賛同してもらおうと考える必要はありません。キーになる人たち何人かだけ、ついて来てくれたらいいんです。
組織には「2・6・2の法則」があると言われます。優秀な人が2割、普通の人が6割、優秀でない人が2割で構成されるという考え方です。100人の組織とするなら、やる気のある者が20人いて、60人がどっちつかず。残りの20人はやる気がない。
私は、下位の20人は放っておきます。不満を抱える人や反対派の説得などするのは、手間暇がもったいないからです。まず、やる気のある20人だけで走り始めれば、真ん中の60人は引っ張られてついて来ます。そうなったら、残りの20人がどっちを向いていても、全体として組織は動き始めるものです。
「この指止まれ」じゃないけど、手を挙げてくれる人たちを中心に進めていくしかないと思います。
昨年11月から、「獺祭の会」というイベントを始めました。お客様に私たちの思いを直接お伝えし、獺祭の魅力をもっと知ってもらうために、酒販店や百貨店での試飲販売会、飲食店やホテルでのイベントなど大小さまざまな催しを、日本各地だけでなく海外も含めて1年間に1000回、開催するのが目標です。単純計算でも1日に3カ所ですから、社長と会長、営業スタッフだけではとても手が足りません。
製造部門から参加希望者を募ることにして、「やる気のあるメンバーを集めといて」と部長に指示しました。200名ほどの部署ですから20~30人だろうと予想していたのですが、100人を超える社員が手を挙げてくれました。製造部長は「自分も、自分も、ということで、この人数になりました」と笑っていましたが、こういう熱にあふれた社員に囲まれているのは本当に幸せです。