
中国の小米(シャオミ)は4年前、成功しているスマートフォン(スマホ)企業だった。同社の自動車事業は当時、取締役会が計画を承認し、創業者で富豪の雷軍氏(55)が成功を目指すと誓ったばかりだった。
同社の車両組立工場は今年30万台を生産する予定で、市場投入から1年足らずで既に13万5000台以上を出荷した。同社第1号の「SU7」はドイツのポルシェに似た外装で、価格は約3万ドル(約450万円)から。納車待ちは半年ほどで、香港に上場している同社の株式は1年で3倍以上に値上がりした。
雷氏はテスラやアップル、フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ(GM)などの米企業にできなかったことを成し遂げた。安価な電気自動車(EV)をヒットさせ、しかも短期間でこれをやってのけた。テスラは年間30万台を生産できるようになるまでに10年以上かかった。15年の歴史を持つEVトラックメーカーの米リビアンは、昨年の生産台数がその6分の1だった。
起業家の雷氏は中国では著名人で、ソーシャルメディアには数千万人のフォロワーがいる。アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏のようにプレゼンテーションが巧みで、数時間にわたり自ら製品を紹介することもある。2月27日には7万3000ドルの新型車を披露した。停止状態から時速約96キロに達するまで2秒かからないという。
雷氏は外国に住んだことはないが、若い頃から米テック界の大物に憧れていた。ジョブズ氏らシリコンバレーのパソコン開拓者を描いた1999年の書籍「Fire in the Valley(パソコン革命の英雄たち:ハッカーズ25年の功績)」に触発されたと語っている。