世界の急激な変化、マネーへの影響は?ILLUSTRATION: RACHEL MENDELSON/WSJ, ISTOCK (2)

 筆者は旧東独の共産党独裁政権が国境を開放した直後に東ベルリンに行き、筆者が生まれてからずっと欧州を分断していた壁から、落書きされたコンクリート片を削り取った。全てが変わった。

 この1週間は、1989年にもたらされたのと同じくらい重要な変化の始まりかもしれない。だが、武装した警備隊が守る検問所を大勢の群衆が通過するという印象的な映像はなく、投資家は新たな現実を織り込むのに苦労している。

 投資家は三つの大きな問題に対処する必要があり、どれも簡単な答えがない。最も重要なのは、グローバルな同盟関係を作り替える動きと、その長期的な影響だ。最も差し迫った問題は、関税に対する米連邦準備制度理事会(FRB)の反応だ。その中間にあるのは、脱グローバル化と各国間の信頼喪失、金融障壁の可能性だ。

 短期的な話から始めよう。カナダとメキシコからの輸入品に対する関税は、中国への10%の追加関税と共に、全米で即時の物価上昇や生産の混乱を招く恐れがある。企業は北米のサプライチェーン(供給網)統合の流れを逆戻りさせようとしている。

 関税発動の再延期を見込んでいたゴールドマン・サックスの予測では、カナダとメキシコに対する関税により、食品とエネルギーを除くコアインフレ率が0.6ポイント押し上げられ、対中追加関税の影響でさらに若干押し上げられるという。消費者のインフレ見通しが上昇しており、FRBは難しい立場に置かれている。