買った株が急落……どうすればいい?──そんな瞬間に身に覚えがないだろう? 買った途端に値下がりし、パニックになって売却。ところが、その後じわじわと回復して「売らなきゃよかった」と後悔したことがある人は多いはず。逆に、損切りをためらって「そのうち戻るはず」と持ち続けた結果、含み損がどんどん膨らみ、身動きが取れなくなってしまうことも。株式投資で本当に利益を出している人は、こうした局面でどう考え、どう行動しているのだろうか? 話題の新刊『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』では、YouTubeで株式投資のアドバイスを配信し人気を博す栫井駿介氏が「利益を出せる個人投資家の思考法」をわかりやすく解説する。株価の乱高下に振り回されず、冷静に判断できる投資家になるためのヒントが満載の話題作だ。この記事では、特別に本書の一部を公開する。

株式投資でなかなか成果を出せない──そんなあたなへ
読者の皆様、こんにちは。この本の著者の栫井駿介(かこい・しゅんすけ)と申します。
私が代表を務める「つばめ投資顧問」は、個人投資家を育成しています。長期投資を楽しみながら実践することを目指して活動しています。
この本は、お客様である個人投資家の皆様からよく寄せられる質問をもとに構成しました。
投資関連の本では「成功者」のエピソードや、「専門家」の難しい話が語られることが多くありますが、実際にはこの本の主人公である波野のように「何となく投資に取り組んでみた」という方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
個人投資家の何気ない悩みに対する答えは、探してもなかなか見つからないものです。そんな「等身大の悩み」にお答えしたいと考えたのがこの本の出発点になっています。
投資って難しいけど、少し踏み込んでやってみると実は結構面白い──そんなことを感じながら読んでもらえると著者冥利に尽きます。最後まで読んでもらえると嬉しいです。
下がっている株を売るべきか?
本書は、エリート商社マン・波野がいきなり投資で大損するところから始まります。
これだけ損を出したら、多くの人が投資をやめてしまうのではないでしょうか。波野も、診療所に出会わなければ後悔の念に苛まれたまま投資から遠ざかっていたかもしれません。
しかし、投資は失敗してからが本番です。私自身も投資に身が入り始めたのは、手痛い失敗を経験してからです。現に私たちのところには「なかなかうまくいかないから、本格的に勉強してみたい」という方がたくさんいらっしゃいます。
そのような方の最初のハードルとなるのが「損切り」です。多くの方が、株価が下がっている銘柄を売却せずに「またどこかで上がるのではないか」という淡い期待を持って保有を続けています。
その様子は、具体的な何かに期待しているというより、何となく風向きが変わるのではないかという「神頼み」に近い状況です。
こうなってしまうと、投資はまさに運を天に任せた「ギャンブル」となります。ギャンブルそのものを否定するわけではありませんが、そのままでは投資がうまくなる可能性はほとんどありません。
(編集部注:本書では、ここで具体的な銘柄を取り上げて損切りの考え方を解説していますが、本記事では割愛します)
投資が本当に上手い人は、自分の間違いを認めることに躊躇しません。それができるからこそ、投資や自分自身に正面から向き合い、投資家として成長することができるのです。
損切りを提案されたお客様も「言ってもらえてよかった」と、すっきりされるようです。もしあなたがモヤモヤしているようなら、思い切って売ってみてはいかがでしょうか。
一旦リセットすることで、冷静に自分と投資対象を見つめ直すことができるはずです。
(本記事は『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』の一部を抜粋・編集したものです)