プレゼンで言葉を発するタイミングだけに意識を向けていませんか? 実は、話していない「間」にこそ、伝わる力を格段に高める秘密が隠されています。その間をどう使うかで、聞き手の理解や共感が大きく変わることも…。話題の書籍『対話するプレゼン』の著者、岩下宏一は、『うっかり言葉に詰まったり、自分の意図しない間ができた時は焦って「なんでもいいから話そう」と無理をしないことが大切です】と言います。本記事では、『対話するプレゼン』より、本文の一部を抜粋・加筆・再編集してお届けします。

プレゼンで言葉に詰まったとき、三流は「なんでもいいから話そう」とする。では一流は?Photo: Adobe Stock

同じ内容でも伝わり方が変わる!「間」を操る人とそうでない人の決定的な違い

 プレゼンにおいても、切り替わりの大きさに合わせて間の長さを変えることが重要です。

本連載の「間のとり方」で説明したとおり、間の長さは話している内容の切り替わりの大きさと比例しています。大きな切り替わりの場面ほど、大きく間をとるべきなのです。

 ページをめくる間の時間が切り替わりの大きさに応じた間になります。また、ボリュームの大きい資料では、中扉が1枚挟まれることで、さらに切り替わりの大きさを示す役割を果たします。充分な間をとりながら話を進めると、伝わる度合いがそれまでと比べて大きく向上します。話がうまい方を観察してみると、例外なく巧みに間を使っていることがわかるでしょう。

「間」が怖くなくなる!話しやすさが劇的に変わるポイントとは?

 ところで、間をとっている間に何をすれば良いのか、というのはよく聞かれる質問です。笑顔を浮かべながら相手の表情や様子を受けとめることです。この時間は、相手にとっても重要な時間です。相手が何か言いたげな様子を見せたら、質問がないかを確認してみましょう。

 一方で、うっかり言葉に詰まったり、自分の意図しない間ができたりすることもあるでしょう。そういう時は焦って「なんでもいいから話そう」と無理をしないことが大切です。まずは「少し考えを整理させてください」と相手にひと言伝えましょう。そのうえで、自分の言葉が自然に出るまで、ゆっくりと考える時間をとってください。

 この時、つい目をそらしてしまいがちですが、あえて相手を見てみてください。視線を向けた相手に対して自然と言葉を語りかけたくなる感覚が生まれ、結果としてスムーズに話し始めることができるはずです。

 相手はその間、必ず待ってくれます。あなたが次に何を言おうとしているのかを整理していることは、相手にも伝わるものです。だからこそ、相手を信じて、この間を大切にしましょう。

 もう一度お伝えします。間は罪悪ではありません。それは、考えを整理したり、話の流れを切り替えたり、心の中を見つめ直したりする貴重な時間です。そして時には、ふっと何かがひらめく瞬間をもたらしてくれる、まさに「宝物」の時間なのです。