2002年に当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領が鉄鋼製品を対象に導入した関税は2年足らずで終了した。しかし、その経済的影響ははるかに長く続いた可能性が高い。この関税は苦境にあえぎながらも政治的影響力のある米鉄鋼業界を保護するために設計され、自動車部品や金属プレスなどに鉄鋼を使用する企業のコストを引き上げた。翌年に撤廃されたが、影響を受けた企業はその後も自社製品を国外で販売しようとする際の競争力が低下した。ウィスコンシン大学マディソン校のリディア・コックス教授(経済学)はそう話す。企業は苦しみ、雇用は失われた。「影響は非常に広範囲に及んだ」とコックス氏は言う。同氏の研究によると、その影響はブッシュ氏の関税撤廃後も約5年間続いた。