「大学受験」は10代における最大のイベントです。残念な側面でもありますが、いい大学にいけば、なりたい職業になれる確率は上がり、将来の選択肢は増えるのが現在の日本です。それほどまでに大学受験の持つインパクトは大きくなっています。そんな難しい時代でも「自分らしい大学進学」をするために書籍:『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』が発売されました。本書は、きれいごとを抜きにして、「大学受験とはどういうものなのか」「人生とはどういうものなのか」を考えることができる受験の決定版です。本記事では発刊を記念して本文の一部を抜粋・再編集してお届けします。

受験生Photo: Adobe Stock

大学入試の選択肢は年々増えている

 大学入試は日々進化していることを皆さんはご存じでしょうか。

 僕の時代には決して主流とは言えなかったAO入試は、今やメジャーな選択肢になりつつあります。一般入試でも、英検のスコアをそのまま入試時の英語の点数として換算する方式なども出てきました。これをよしとする見方もあれば、悪いとする見方もあります。ちなみに僕は、選択肢は多いほうがいいと思うので賛成派です。

 もはや、僕たち大人が高校生だったときの「受験の常識」は通用しません。

 大学入試の選択肢が増えたことによる最大の恩恵は、「日東駒専」クラスの大学には努力をすればほぼ確実に入学できる時代が来たことです。

 日東駒専と言うと、その評価はまちまちかと思いますが、全国的に見れば十分立派な有名大学です。偏差値も50前後あるわけですから、受験生の半分は日東駒専に入れません。そんな日東駒専に努力をすれば確実に入れるのですからすごい時代だと思います。

 現に、「うちの子どもは本当に成績が悪いので、日東駒専に入れれば御の字なんです」という親御さんからの相談は毎年多く、その度にさまざまな入試方式があることを伝えています。

 なかには「小論文+面接」だけで受験できる学部もあるので、普通の入試に比べたらかなりお得です。勉強が苦手な学生でも「自分の得意なこと」「挑戦したいこと」をアピールできるようになったわけですから、まさに時代に合った方式でしょう。こういった推薦入試の是非は度々議論されますが、制度がある以上、有効利用するのは決して悪いことではありません。

自分に合った入試もあるのに不合格者があとを絶たないのはなぜか

 ただ、それにもかかわらず、日東駒専に進学できない人が毎年必ず出てきます。理由は明確で、学生自身が「それでも努力できないから」です。

「面接と小論文だけだから対策しなくても余裕だと思った」「なんだかそんなにやる気が出なかった」など理由はさまざまですが、毎年多くの学生が単純な努力不足で千載一遇の大チャンスを逃すのです。目の前に確実にチャンスは広がっているのに逃してしまう。これ以上にもったいないことがあるでしょうか。本当に悲しいです。

 同時に、結局努力できるかどうかは、入試の難易度で決まるのではなく本人の熱意次第なんだなとも思います。「入るのが簡単だから頑張れる」とかではないんですよね。

 いずれにしても、適切に情報を集めて、自分に合った戦略を立てることができれば、かつてよりはるかに偏差値50の壁は突破しやすくなっているのが今の大学入試ですので、いろいろな情報を得ながら前向きに可能性を探ってみてください。