一方で、SDV技術で先行しているのがテスラとBYDということになります。テスラの場合、ウェイモのように大量のセンサーを搭載しなければ動かないAIではなく、テレビカメラだけで動く自動運転アプリを開発中で、もしこれが完成すればSDV技術で既存のテスラ車すべてにインストールすることもできるようになります。
問題はそのテスラの自動運転が、これからテキサス州で試されるということです。詳しい方はすでにアメリカのテスラ車にFSD(フルセルフドライビング)機能が搭載されていることをご存知かもしれません。商品名としては完全自動運転をうたっている機能ですが、自動運転の定義としてはレベル2の運転支援機能だとされます。
これからテスラが発表するロボタクシーの自動運転機能が無人タクシーに必要とされるレベル4ないしはレベル5に到達しているのかどうかが問われるわけです。これはなかなか微妙な問題で、これまでもイーロン・マスクはこういった技術がすぐにでも実現するような夢を語ってきたのですが、実際にはまだ実現できていません。
とはいえ、近年の生成AIの成長スピードの速さを考慮すれば、自動運転技術もこの1~2年で急速な進化を遂げる可能性は高いと思います。
究極的に言えることは、今回、イーロン・マスク氏がトランプ大統領の側近となったことで得られたのが、それをテキサス州で実験しながら性能向上させることができるというビジネスチャンスだということです。
EV市場での4つの問題でテスラが失った企業価値半減という損失と比較すると、それは非常に小さな見返りかもしれません。がしかし、この1点の政治メリットは、テスラの将来の企業価値に莫大な差を生む可能性があるメリットになるのかもしれないのです。