業務報告メールが物議を醸した実業家のイーロン・マスク氏 Photo:JIJI業務報告メールが物議を醸した実業家のイーロン・マスク氏 Photo:JIJI

「先週、何した?」――このように、毎週細かく業務報告を求めてくる上司にうんざりしていませんか。報告を作成するのに時間がかかるし、どうせ上司はまともに読んでいない。それなのに、評価や人事に悪影響を及ぼす可能性があるから手を抜けない…。そんな厄介で迷惑な上司の要求を瞬時に解決する、超効率的な方法があります。貴重な時間を無駄にすることなく、本来の仕事に集中するための最強の仕事術を紹介します。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

イーロン・マスクが知らない
業務報告の「3つの副作用」

 トランプ政権で政府効率化省を率いるイーロン・マスク氏がアメリカの政府職員に送ったメールが大混乱を引き起こしています。メールは2月22日の午後に人事管理局から「先週何をしましたか?」の件名で「前週の仕事の成果を報告するように」という指示が送信されました。

 職員は2日後の24日までに前週の成果を5つ挙げて返信しなければいけないというのです。そのうえでマスク氏がSNSに「返信しなければ辞職とみなす」と投稿したことで混乱が広がります。

 結局、連邦人事管理局は「メールに返信しなくても解雇されない」と各省庁に連絡をいれて、報告義務は事実上撤回されました。マスク氏が引き起こした騒動は一旦収束した形です。

 さて、とはいえこのような業務報告は企業で働くビジネスパーソンにとっては他人事ではないケースも多いでしょう。業務報告は経営者が従業員を管理するツールとして広く使われています。

 業務報告はある意味でビジネスとしては当然必要なツールではあるのですが、3つの悪い副作用があることを忘れてはいけません。以下がその3つです。

1. 業務に支障をきたすぐらい書くのに時間がかかる
2. ちゃんとは読まれない
3. 人事評価の際に悪用される

 今回のマスク氏の例で説明すると、メールが送られてきた時点で3番目の匂いがぷんぷんします。なにしろ政府効率化省のトップの肝いりで連邦政府職員に一斉に送られたメールです。前週は仕事の成果があまりなかったなどと報告すれば、人事評価に悪用されて、人員削減の対象になる可能性が見え隠れしてきます。