自分は将来どうなるだろうか……。そんな不安を持つ人は少なくない。「いつまで第一線でいられるか」「いつまで他人と競えばいいのか」「いまいる友達は60歳になっても友達か」「気力体力はどうなるか」「お金は?」「いまのうちにやるべきことは?」など。そこで本連載では、2025年に60歳を迎える奥田民生の10年ぶりの本『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』の中から、民生流の「心の持ち方、生きるヒント」を紹介する。吉川晃司との新ユニット「Ooochie Koochie」(オーチーコーチー)も話題の奥田民生は、これまでどのように考え、どのように働き、どのように周りとの関係を築いてきたのか。その頭の中をのぞいてみよう。(構成/ダイヤモンド社・石塚理恵子)

Photo by Takahiro Otsuji
名前が出ない!?
この歳になると「あるある」だけど、久しぶりに会った人の名前が出ない。
本当に出ない。
ごまかし方がうまくなる
一応、がんばって思い出そうとはするのだけれど出ない。
そんなときは「ごめん誰だっけ」と言うのはさすがに気が引けるからよくごまかす。
「あーどうも」とか言いながらすぐ本題に逃げる。
昨日なにを食べたかも忘れる
「昨日なに食べた?」って聞かれても、すぐ出てこない。
でもじゃあ「若いときはすぐ出たのか」と言われたら、それもちょっと怪しいけれど、こういうのって聞かれた瞬間「なんだっけ?」ってなったりするから、聞かれたら忘れるようにできているんじゃないかと思う。
人の名前も同じで「あの人の名前なんだっけ?」って思った瞬間、さっきまで覚えていた人の名前がわからなくなるようになってる気がする。
いや、都合のいい言い訳だけど。
覚えられないことは
忘れていいこと
人は脳に溜められる記憶の量が決まっているらしいから、人間はそもそも必要な記憶以外はどんどん頭から出て行くものなのかもしれない。
俺は曲のアイデアが浮かんでもメモなんて取らないし、忘れるようなことは忘れてもいいことだと思っているから、記憶力が落ちてもそんなに嘆くことはない。
忘れたことは忘れていいこと。
そう思うと気もラクになる。
(本稿は奥田民生『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』からの抜粋記事です。)