自分は将来どうなるだろう……。そんな不安を持つ人は少なくないのではないだろうか。「いつまで第一線でいられるか」「いつまで他人と競えばいいのか」「いまいる友達は60歳になっても友達か」「気力体力はどうなるか」「お金は?」「いまのうちにやるべきことは?」など疑問がつきない。そこで本連載では、2025年に60歳を迎える奥田民生の10年ぶりの本『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』の中から、民生流の「心の持ち方、生きるヒント」を紹介する。「力まず自然体でカッコいい大人」代表の奥田民生は、これまでどのように考え、どのように働き、どのように周りとの関係を築いてきたのか。その言葉を見ていこう。(構成/ダイヤモンド社・石塚理恵子)

職場にいる「ズルをしそうな人」を一発で見抜くとっておきの方法
Photo by Takahiro Otsuji

ゴルフをすれば性格は「だいたいわかる」

 ゴルフは1組4人でやるのだけれど「プレーを見れば相手のことがだいたいわかる」というのが面白い。

 一度のプレーで全員の性格が全部わかるわけではないけれど、あきらかに「この人は真面目だな」とか、「こいつはズルをしそうだな(笑)」というのはわかる。

 ゴルフのときだけ真面目な人も中にはいるかもしれないけど、真面目な人はゴルフだろうがなんだろうが普段から真面目な人が多いと思うし、でも真面目な人は真面目な人で慎重すぎてプレーにめちゃめちゃ時間がかかって他人のことを見ていなかったり(笑)。

 そういう人間の機微がわかるのもゴルフの楽しさだと思う。

揉めそうなやつかどうかもチェックできる

 ちなみに俺は他人のプレーが遅くても大丈夫。

 イライラすることもない。

 自分の組が注意されたら「遅れた分は俺が早く打てばいいか」と思うだけだし、遊びやスポーツはあんまりイライラしたりせず、できる人ができることをがんばって、揉めずに楽しくやるのがいいんじゃないかと思っている。

励まし系? マイペース系?

「ゴルフは性格が出る」ということで言えば、ゴルフ仲間でもあるABEDON(ユニコーン)は励まし系。

 周りをめちゃくちゃ楽しませるし、失敗で誰かが凹んでいると先頭に立って盛り上げる。

 俺も盛り上げるタイプではあるけど、俺もあいつもミスをすると凹みがちで、だから自分以外の誰かが凹んだときは、褒めて、褒めて、褒めまくる。

 でもABEDONはバンカーに入ったらいくら「大丈夫」と励ましてもダメで、2、3打は必ず損をする。バンカーに入った時点で「ああもうダメだ」と心が折れる音がする。

 ユニコーンのときのABEDONはリーダーで、いつも率先して意見を言ってメンバーをまとめて、うまくいかないことがあっても、まあ心が折れることはないのだけれど、ゴルフでボールがバンカーに入るとポキンと折れるから面白い。

 ただバンドのときもそうだけど、どっちかが折れて調子が悪いと、どっちかが褒めて伸ばし合うから、バンドもゴルフもABEDONとやるといつも楽しい。

プレー中は仕事の話は一切しない

 ゴルフは全部で18ホールで、だいたい5時間くらいは普通にかかる。

 友達と遊ぶにしても飲むだけで5時間も一緒にはいられないから、長時間一緒に遊べるゴルフは大人になると貴重になる。

 プレー中なにを話しているかと言えばほんとにくだらない話ばかりで、「最近、スニーカーなに買った?」とか、中2のときと話す内容は変わらないけど、それに加えてこの歳になると「最近腰が痛い」だの「肩が上がらなくなった」だの、カラダの話題はよく上る。

遊ぶときは集中して遊ぶと色々見えるしストレスがない

 ただ仕事仲間とプレーをしても仕事の話はまるでしない。

 友達と遊ぶときは一生懸命遊ぶことに集中する。

 大人だから毎日いろいろあるし、友達の前では愚痴が出たり、接待ゴルフの人もいるだろうと思うけど、遊ぶときは集中して一生懸命遊んだ方が楽しいし、その方がストレスにならないと俺は思う。

 こういう遊びはくだらない話で盛り上がって、1日楽しむ方が断然いい。

(本稿は奥田民生『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』からの抜粋記事です。)