いつも嫌なことが頭の中をぐるぐる巡ったり、「あの人のことを考えると不安やイライラが止まらない」と感じることはないだろうか。そんなとき、まず大切なのは、問題を解決しようとする前に、一度「ストレスをリセット」することだ。『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)では、ストレスを抱えやすい人のために、科学的に実証された気分転換の方法を多数紹介している。本書は単なる事後対処にとどまらず、そもそもストレスを寄せつけない体質をつくる方法についても解説。ベストセラー『エッセンシャル思考』の著者グレッグ・マキューンも「この本は、人生の本質的でない混乱から抜け出したいと願うすべての人にとって、必読の救いの書である」と絶賛。今回は発売を記念して、特別に本書の内容を一部抜粋、再編集してお届けする。

ベッドを整える
毎朝2分だけ割いて、ベッドを整えてみよう。
「世界を変えたければ、まずはベッドを整えることから始めよう」
これは、テキサス大学オースティン校の教授ウィリアム・H・マクレイヴン提督が卒業式のスピーチで述べた言葉だ。
この言葉は口コミで広まり、提督の海外特殊部隊時代の経験をまとめた『1日1つ、なしとげる! 米海軍特殊部隊SEALsの教え』(斎藤栄一郎訳、講談社)も、ニューヨーク・タイムズのベストセラーになった。
海軍特殊部隊でも行われている習慣
彼が海軍特殊部隊で訓練を受けていた頃、1日の最初の任務はベッドをきれいに整えて、検査に合格することだった。シーツの角がきっちり四角で、毛布はきちんと折り込まれ、枕がちょうど真ん中に置かれていなくてはならない。
当時は長時間の過酷な活動で、常に睡眠不足、濡れて凍えたままでいるのもしょっちゅうで、それと比べると馬鹿げた作業のようにも思えた。
しかし、次第にこの単純なルーチンに深い意味があることを理解し、ベッドメイキングをきちんとやることに誇りを抱くようになったのだ。
完璧主義になりすぎてもいけないが、「自尊心や達成感を育むような行為によって1日を始める」というマクレイヴン提督の考え方が私は好きだ。
ベッドメイキングする人の71%が幸せを感じている
Hunch.comが6万8000人を対象に行った調査でも、ベッドメイキングをする人の71%が「幸せだ」と回答したのに対し、ベッドメイキングをしない人の62%が「幸せではない」と感じていた。
アメリカの国立睡眠財団が実施した別の世論調査でも、ベッドメイキングをする人は良く眠れる可能性が19%も高かった。
ベッドメイキングが幸福や快眠のたった1つの要因ではないが、ポジティブな行動をすることで自分の能力への自信が高まるのだ。
「ベッドメイキングをすると、『人生では小さなことこそ大切だ』という事実を改めて感じられる。小さなことがちゃんとできなければ、大きなことは決して成し遂げられない」
マクレイヴン提督はこのように説明している。
「ひどい1日を過ごしても、家に帰るとベッドが整えられている。しかも自分が整えたベッドだ。整えられたベッドが、明日はもっと良い日になると励ましてくれる」
※『瞬間ストレスリセット』では、科学的に短時間でストレスを解消できる方法を多数紹介。その場しのぎではなく、ストレスに強くなるための習慣や対策(ストレス耐性を高める方法)も幅広く取り上げています。