Photo by Hiroaki Miyahara
一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売等をめぐる問題が、新たな局面を迎えている。
厚生労働省は、新たなルールに関する検討会において、議論のたたき台を提出。政府の産業競争力会議が6月をめどに取りまとめる予定の「成長戦略」に反映させるため、今月中にも結論を出したい考えだ。
この検討会は今年2月以降、すでに8回を開催してきたが、日本薬剤師会などのネット販売反対派とネット販売事業者などの賛成派が対立し、議論が平行線をたどる中、厚労省は両者の“落としどころ”を模索。第1類医薬品で販売開始後4年以内のものは対面販売、それ以外の第1類および第2類のすべてはテレビ電話を使った販売の義務化を検討しているもようだ。
ところが、こうした流れをつくろうとする厚労省に対し、ネット賛成派は猛反発。「そもそも薬事法に対面販売の原則はない。テレビ電話を義務づけるのは消費者に不便を押しつけるだけだ」(後藤玄利・ケンコーコム社長)と主張する。
さらに「薬事法を改正して対面販売を義務づけるような事態になれば、違憲立法として提訴する」(後藤社長)と鼻息は荒い。
ネット賛成派が全面解禁を譲らない根拠は、今年1月の最高裁判決にある。
2009年6月に施行された改正薬事法により、一般用医薬品は副作用リスクに応じて第1~3類医薬品の三つに分類。厚労省は省令により第1類と第2類については原則として「薬剤師などが対面販売しなければならない」と規定し、インターネットなどによる販売を禁止した。これに対しケンコーコムなどは国を提訴し争ってきたが、今年1月の最高裁判決で、「省令は違法」とする司法判断が下された。
だが、ネット反対派は依然として消費者の安心・安全を理由にネット販売の全面解禁には反対の姿勢を変えてはいない。