ロサンゼルス・ドジャースのスーパースター、ムーキー・ベッツ選手は今冬、東京都内の小学校を訪れた際、3年生と4年生のグループに「大きくなったら何になりたいか」というシンプルな質問をした。日本のスポーツの歴史を知っている人なら誰でも、その場にいたこのファンたちが「プロ野球でプレーしたい」と答えると期待していただろう。ところが、彼らの答えは衝撃的だった。テキサス・レンジャーズの環太平洋地域運営ディレクターを務めるジョー古河氏は「子どもたちの半数が『メジャーリーグ・ベースボール(MLB)の選手になりたい』と答えた」と話す。「何と時代は変わったことか」最近まで、日本の野球ファンの間では、MLBは常に日本のプロ野球(NPB)の脇役を務めてきた。活気あふれるNPB独自の野球文化は、その1世紀余りの伝統に深くしみ込んでいる。米国の野球に対する急激な関心の高まりは、30年にわたって強化されてきた努力で苦労して得た成果だ。今、MLBはその投資の見返りを目にしている。