2024年分の確定申告が2月17日から始まる。この確定申告において特に注意すべき3つの項目として、「定額減税」「インボイス」「副業」が挙げられる。これらについて、会計ソフト大手である弥生の専門家の協力を得て、制度の概要と申告時に留意すべき点を解説する。本稿では、「インボイス」について取り上げる。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)
23年分納税額が15万円未満なら
24年分の確定申告時に適用
2024年分の確定申告が間もなく始まる。特に注意すべきなのは、「定額減税」「インボイス」「副業」の3つの申告の仕方だ。これらについて、3回に分けて最新情報を基に解説する。今回は、消費税の適正な課税を確保することを目的に23年10月から導入された、インボイス制度(適格請求書等保存方式)について見ていきたい。
課税事業者は販売先に発行する請求書に、消費税率ごとの税額や登録番号などの情報を記載する必要がある。これが適格請求書(インボイス)だ。販売先は、原則として仕入れ先からこのインボイスを受け取り、それを保存している場合にのみ、仕入税額控除が認められる。
例えば、フリーライター(仕入れ先)が課税事業者の場合、インボイスを出版社(販売先)に出すことで、その出版社は仕入税額控除ができるという仕組みだ。
一方、免税事業者はインボイスを発行できない。そのため、取引先が仕入税額控除を受けられなくなる可能性があり、取引関係に影響を及ぼすことがある。この制度により、取引の透明性が向上するが、事業者には新しい記録や手続きが求められるため、準備が重要だ。
次ページ以降では、「本則課税」「簡易課税」「2割特例」に場合分けをして、具体的なメリットとデメリットについて解説していく。また、確定申告で重要な「電子帳簿保存法」の内容についても紹介する。