FRBの調べによると、米国で住宅の評価額がモーゲージ設定時より上回っている部分(ホームエクイティ)の全米総額は昨年末で8.2兆ドルだった。2009年末の6.2兆ドルに比べ3割強増加した。ただし、ピーク時の06年の13.5兆ドルに比べればまだ大幅に低い。

 3月末の住宅価格前年比は過去7年見られなかった大幅上昇を示した。全米1位はアクロン(オハイオ)の+32.7%、2位はサンフランシスコ圏(カリフォルニア)の+32.6%、3位はレノ圏(ネバダ)の+32.1%。ただし、下落の街も依然としてあり、最下位はカンカキー圏(イリノイ)の▲18.8%である(NAR調べ)。

 州ごとにおいてもばらつきは激しい。サンフランシスコでは100万ドル超の高額物件に買いが多数集まる「マルチプルオファー」がよく起きている。シリコンバレーの賃金高騰の影響が表れている。賃貸価格も契約更改時に10~20%の大幅引き上げが見られる。

 ジェトロ・サンフランシスコ事務所の木村洋一次長に聞いたところ、シリコンバレーの高額所得のIT技術者は、郊外のプール付き邸宅より、サンフランシスコの人気レストランやバーに歩いていける高級マンションを選ぶ。しかも彼らはシリコンバレーへ通勤する際、自動車を運転するより、バスに乗って片道1時間弱の間に仕事をすることを好む。大手有名IT企業の多くが、Wi-Fi完備の社員専用バスを走らせている。