「なかなか決められない人」と「決断できる人」の根本的な1つの差

「変化の時代を、どう生き抜くか？」 この問いに真正面から答えたのが、アメリカでベストセラーとなった一冊『Master of Change 変わりつづける人：最新研究が実証する最強の生存戦略』だ。著者は、元マッキンゼーのコンサルタントであり、ウェルビーイング分野の第一人者、ブラッド・スタルバーグ。本稿では、本書の中でも特に注目すべき「難しい決断を迫られたときに役立つ思考法」に焦点をあてる。自分らしさを貫き、世の中の変化を味方につけるには何が必要なのか。その答えを、本書の知見とともに紐解いていく。（構成／ダイヤモンド社書籍編集局）

決断できる人とできない人、何が違うのか？

　仕事でもプライベートでも、決断しなければいけない場面は、日常にあふれている。

　たとえば、転職するか、今の会社に残るか。海外赴任や転勤を引き受けるか、それとも断るか。

　決めきれずに迷い続ける人がいる一方で、迷いなく決断して前に進む人がいる。この違いはどこから生まれるのか。

　全米ベストセラーの話題作『Master of Change 変わりつづける人：最新研究が実証する最強の生存戦略』が指摘するのは、「コアバリュー（核となる価値観）」の有無だ。

　このコアバリューこそが、決断できる人とできない人を分ける最も大きな違いである。

コアバリューとは何か？

　本書によると、コアバリューとはそれぞれの人がもつ根本的な信念や指針で、その人にとって最も重要な特性や資質のことだ。

　コアバリューが明確であるほど、人は迷わずに決断できる。自分の判断基準がはっきりしているからである。

　一方、コアバリューが曖昧な人は、他人の期待や周囲の空気に流され、いつまでも決められずに立ち止まってしまう。

コアバリューが決断を助ける理由

　たとえば、「成長」が自分のコアバリューだと理解していれば、新しい仕事のチャンスが来たときに「これは自分を成長させるか？」という観点から判断できる。

　たとえリスクがあっても、自分の軸に沿っていると確信できれば、人は前に進める。迷いの少ない人は、日頃から「何を大切にしたいか」を意識しながら生きているのだ。

コアバリューの実践方法を言語化する

　では、コアバリューはどうすれば見つかるのか。

　これらの問いは、自分のコアバリューを見つける手がかりになる。

　尊敬する人を思い浮かべることで、自分がどんな価値を重視しているかが浮かび上がる。

　あるいは、未来の自分の視点から、今の自分に誇れるものを想像することで、「自分らしさ」を掘り下げることができる。

　たとえば「誠実さ」を大事にしたいと感じたなら、「誰に対しても正直に接する」「信頼を損なうような言動をしない」といった行動指針が生まれる。

　こうした具体的な行動指針を持つことで、日常の小さな判断もぶれなくなり、自信を持って選択できるようになる。

　決断力とはセンスやスキルではなく、自分の価値観をどれだけ明確に言語化できているかで決まる。

　決められないと感じた時は、一度立ち止まり、自分にとっての「決断の土台」を見つめ直してみよう。そうすれば、迷いの少ない、後悔のない選択ができるはずだ。

※本稿は『Master of Change 変わりつづける人：最新研究が実証する最強の生存戦略』の内容を一部抜粋・編集したものです。