やることは山積みなのに、なぜか体が動かない。メールの返信、資料作成、運動、家事。「やらなきゃ」と思っているのに、いつの間にか1日が終わっている――。そんな時こそ効果を発揮するのが、“考えずに動ける”ルーティンだ。意志や気合いに頼らず、自然と体が動き出す仕組みをつくることで、行動のハードルは驚くほど下がる。
本稿ではアメリカで話題となった書籍『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』の内容をもとに、「すぐやる人」が実践しているシンプルで効果的な行動習慣のつくり方を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「忙しくてパンクする人」「忙しくても余裕がある人」の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

「あれこれ考えて動けない……」は、あなたのせいじゃない

 仕事や勉強、健康のための運動、家事……やらなきゃいけないことは色々あるけれど、どうしても気分が乗らない。そんな経験は誰にでもあるだろう。

 特に新年度の始まりは、気持ちが落ち着かない時期だ。

 職場では異動や配置転換があり、慣れない仕事や新しい人間関係が一気に押し寄せてくる。業務の引き継ぎや手続きに追われてペースが乱れ、なんとなく頭も心も疲れてしまう。

 そんな状況では、「やろう」と思ってもなかなか行動に移せないのも無理はない。行動のハードルが、知らず知らずのうちに高くなっているのだ。

行動できない時こそ「ルーティン」が効く

 こんな時こそ頼りになるのが、「ルーティン」である。

『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』では、次のように語られている。

周囲が一変している時は、ルーティンをやると日常的な感覚と落ちつきを取り戻せる。

ルーティンなので、意志や動機に頼らなくても機械的に判断できて行動しやすい。

困難な時期には、意志や動機は不足しがちなのでなおさらいいだろう。

 

――『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より

 ルーティンとは、「毎日、同じ時間に同じ行動をする仕組み」のことだ。

 たとえば、次のようなものだ。

 - 朝9時になったら、たまったメールの返信を一気に片づける
 - 帰宅後すぐに10分だけ筋トレをする
 - 夕食後に洗い物とキッチンの片づけを一気に終わらせる

 やらなければいけない仕事や家事、健康管理といった課題にこそ、小さなルーティンが力を発揮する。

 意志やモチベーションはとても不安定だ。疲れている時、落ち込んでいる時、時間がない時には、すぐに尽きてしまう。

 だからこそ、あらかじめ「この時間にはこれをやる」と決めておくことで、迷わず行動に移せるようになる。

自分にとって「最適なルーティン」を見つける

 では、どのようにしてルーティンをつくればいいのか? ここでもう一つ、本書からの引用を紹介する。

最適なルーティンを見つける最善の方法は、敏感に自己洞察をして実験することだ。

何かをする時に自分に注意を払い、そこから何が得られるかを検証しよう。

たとえばエクササイズ、睡眠、人との交流など。こうした活動にも適したタイミング、場所、やり方がある。

自分にとって効果的な方法を見つけよう。

 

――『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より

 ルーティンは、誰かの真似をすればうまくいくというものではない。

 朝型の人と夜型の人では、ベストな行動タイミングが違う。同じ運動でも、「朝のランニング」が向いている人もいれば、「夜のジム通い」がしっくりくる人もいる。

 つまり、続けやすさは人それぞれなのだ。だからこそ、自分自身をよく観察し、試しながら最適な形を探っていく必要がある。

「考えずに動ける仕組み」は、一度つくってしまえば、行動力を支える強力な味方になる。忙しい毎日や、移り変わる環境の中で「変わらない拠り所」となり、心の安定をもたらしてくれる。

 行動できない自分を責めるより、動き出せる仕組みをつくろう。

 その第一歩として、『Master of Change 変わりつづける人』を手に取ってみてほしい。慌ただしい日々の中で自分らしく生きるヒントがぎっしり詰まった1冊だ。

※本稿は『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』の内容を一部抜粋・編集したものです。