そのトイレ休憩に立ち寄るサービスエリアの食事処などで添乗員に出してくれるところは出してくれるのだ。

 たいていはラーメン、そば、うどん、カレーライスの類い。中には定食などの本格的なものを提供してくれるところもある。

 だからトイレ休憩というと、私の場合、だいたいが同じ場所に寄ることになってしまう。

 もっとも、小さなパーキンクエリアだとトイレが狭い。それで参加者全員がトイレを済ますのに時間がかかるというマイナス点もあるのだが。

 トイレ休憩の時間は15分、長くても20分だ。だから添乗員は急いでトイレを済ませ、それから10分弱で早飯を終えるというわけだ。目が回るほどに忙しい。

 ドライバーはたいていタバコを吸う。したがって彼らはこの時間にコーヒーとタバコでおしまい。中には、それに早飯をプラスするという猛者もいたりはするが。

収入は少ないのに、腹はパンパン
ガツガツ食べ続けた末に…

 そんな神業めいたことをするのは、女性の添乗員には無理。たいていはお茶などを飲んで静かに過ごしている。けれども、これにも例外があって、サッササッサと召し上がる女性もいたりして。

 そういう具合に添乗員はタダ飯にいくらでもありつける。ツアーによっては1日中食べ続けているという好き者もいたりする。

 食事のほかにも飲み物、菓子などを出してくれるところもある。こと食べ物だけには不自由しないのだ。

 だから添乗員の体型はワガママなのが多いでしょう。そして、なおかつ見た目が品格に欠けるきらいがあるでしょう。何しろガツガツ生きている輩が多いのだもの。もちろん私もその1人だが。

 数多くあるその手の施設の中で私が最も気に入っているのが埼玉県の関越自動車道の三芳パーキングエリアの下り線である。ここのラーメンがなかなかに旨いのだ。

 それにニンニクのすったのを入れて食べるのが私の好みなのだ。もちろん添乗員というのは参加者の前でマイクを使って話をしなければならない。だから臭いを気にしなければならないのが残念なのだが。

 新型コロナウイルスが猛威をふるっていた時期には臭いを消すという意味では助かった。

 何しろ、この期間にはマスクをしていたものね。だからコロナ禍が収まりかけた頃にも私はニンニク入りラーメンのためにつけましたとも、マスクを。

 ある時、例によってラーメンを食べ終えてバスの前に立って参加者が帰ってくるのを待っていた時のこと。帰ってきた人がニヤリとして、「ここのラーメンは美味しいのかい」と私に声をかけてきた。ドキリである。