“観光地”じゃない、“稼ぎ場”だ
添乗員が選ぶお宝ツアーの真相
ところが最近よく訪れる場所でパーセント手数料の店と出会ったのである。
旅行会社はツアーの行程を記した指示書というのを添乗員に配る。指示書ではその土産物店のある場所で観光することになっているが、その店に行けとは書いていない。つまり、その店に寄っても旅行会社に手数料を出さなくてもいいのだ。

店があるのは小豆島だ。小豆島というと、私が添乗員としての初心者マークをつけていた頃を思い出さずにはいられない。添乗員に実によくしてくれる店が多いのだ。
どの店に寄っても添乗員に土産物や菓子を出す。昔は業界ではそれが、ごく普通であった。けれども近頃はせちがらくなったのか、大半の店が何も出さない。
小豆島のその土産物店は船で島に渡って最初に立ち寄る店なのだ。小豆島はそうめん、オリーブなどが特産品である。
その特産品をはじめとして島のあらゆる品々がそろっている店なのだ。「この店で小豆島の何でも買えちゃいますよ」と私も声を大にして宣伝する。
店には添乗員の休憩室がある。そこでコーヒーを飲み、菓子を食べて一息つく。そして頃合いを見てレジへと赴く。
レジでは計算に忙しい。ツアーによっては出発時間のギリギリまで買い物を楽しんでいる人もいたりする。
私も店からの見返りを考えると、そんな参加者を急がせたりはしない。たんまり買い込んでくださいな、と祈るほどだ。
そうしてレジで手数料をもらう。買い物の多いツアーだと私の1日の添乗員の稼ぎに近い金額が入り込んでくることもある。もうウハウハである。
そんな時は、これから回る「二十四の瞳映画村」やエンジェル・ロードなどを気持ちよく案内できてしまう。まったく現金なもんですなぁ。
だから近頃は派遣会社から小豆島の仕事をもらうと、もうウハウハなのだ。小豆島は最近の私のお宝ツアーなのだ。