米景気後退確率が急上昇、トランプ関税で=WSJ調査Photo:Tasos Katopodis/gettyimages

 ドナルド・トランプ米大統領が就任して以降、エコノミストらは米国の経済成長率予想を大幅に引き下げる一方、インフレ率と失業率の予想を引き上げている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が四半期ごとに実施しているエコノミスト調査によると、その主な理由は関税だ。

 1月10~14日に実施した前回調査では、関税や移民制限、減税など、トランプ氏の政策の多くが不透明だとエコノミストらは回答していた。彼らは、その不確実性と、予想を上回り続けている経済のどちらを重視するか判断を迫られた。

 エコノミストらの見通しが変化した背景には、3カ月前にはほとんど誰も想像しなかった通商政策をトランプ氏が推し進めていることがある。

 今回の調査は4月4~8日に64人の経済学者・企業エコノミストから回答を得た。トランプ氏は2日、その日を「解放の日」と呼び、輸入品に対する10%の基本関税と、より高い「相互関税」を発表。9日には、トランプ氏が相互関税を90日間停止し、10%の基本関税を維持しつつ、報復措置を取った中国に対する関税を145%に引き上げると発表した。11日にはスマートフォンなどの電子機器を相互関税の対象から除外すると発表した。

 4月のWSJエコノミスト調査では、2025年10-12月期の米実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比で0.8%にとどまると平均的に予想されており、1月時点の予想(2%)から下方修正された。この予想通りとなれば今年の経済成長率は、新型コロナウイルス禍に伴い短期間だが深刻な景気後退(リセッション)に見舞われた20年以来の低水準となる。26年の成長率は1.8%との見方が示された。