「ドル安・円高」相場の幕開け近く、トランプ関税と地政学リスクで米国は“トリプル安”懸念一時前日比1900円安となった日経平均株価(左)と1ドル=142円台に上昇した円相場を示すモニター=4月11日 Photo:JIJI

4-6月期は円がアウトパフォーム、
ドルはアンダーパフォームへ

 今年4-6月期の主な焦点は、(1)トランプ関税の行方と米実体経済への影響、(2)金融政策スタンスの相違、(3)ウクライナ戦争停戦の可能性だ。

 トランプ関税によるリスクオフ、米景気下押し圧力、日銀の相対的タカ派姿勢などを受け、円がアウトパフォームしやすい一方、米国のスタグフレーション懸念や来年にかけての利下げ継続見通しなどからドルがアンダーパフォームしやすいとみられる。

 3つの焦点のうち最も注目されるのが、トランプ関税の行方と関税による株式市場、米経済への影響だ。4月2日に発表された米国の相互関税は、全世界に10%の最低関税率を導入した上で、一部の国には40%超の相互関税を課すといった市場の事前想定を上回る内容だった。

 今後も半導体チップ、医薬品、銅、木材など個別品目を対象とした関税(個別関税)も続き、それへの報復関税が広がるようだと、世界景気の悪化懸念が強まり、世界株価が下落し、リスクオフの円高圧力がさらに強まるだろう。