米経済は25年「1.9%成長に減速」も26年は2.5%か、トランプ関税・減税政策の振れ幅大Photo:Spencer Platt/gettyimages

25年以降の米景気、振幅の大きい展開に
供給阻害と需要押し上げの政策入り交じる

 大統領選挙でのトランプ前大統領の完勝に加えて、連邦議会選挙でも共和党が上下院とも過半数を占める「トリプルレッド」が実現したことで、トランプ氏が選挙前に掲げた公約の多くが実現する可能性が高まっている。

 選挙後には、公約で言及していた中国向けの関税引き上げだけでなく、カナダやメキシコにも25%の関税を課す意向を表明するなど、第2期トランプ政権の政策運営は予見が難しいうえ、トランプ政策には供給を阻害する政策と需要を押し上げる政策がともに盛り込まれており、インフレ圧力が再び高まるもとで米景気は不安定な動きになると考えられる。

 足元の米景気は堅調だが、2025年には、新政権発足後、間をおかず中国に対する60%関税実施が予想され、物価上昇などで実質GDP成長率は1.9%まで減速が見込まれる。だが、26年は大型減税実施によって成長率は2.5%まで高まる見通しだ。

 ただし「ユニバーサル・ベースライン関税(10~20%の普遍関税)」導入や減税による財政赤字拡大・金利上昇が成長率を下振れさせるリスクには注意が必要だ。

 米景気は、トランプ政策がいつどのような形で実施されるかで振幅の大きい展開になりそうだ。