銀行株は下落が目立つ銀行株は下落が目立つ Photo:John Taggart for WSJ

 ウォール街は再び成長に対する不安に陥っている。

 投資家は2025年を楽観的な気持ちで迎えた。規制の巻き戻しや市場が好む減税を推進する新政権によって、すでに力強い米国経済はさらなる後押しを受けるとの期待があった。ところがここ数週間は、貿易摩擦や経済成長鈍化の兆しが主要株価指数を押し下げている。

 今週に入り相場の下げは加速した。ドナルド・トランプ米大統領が主要貿易相手国に25%の関税を課し、投資家は同氏が保護主義的な政策を追求することにどれほど真剣なのかを改めて考えざるを得なくなった。

 値下がりは銀行や中小企業など、景気減速に敏感に反応しやすいとされるセクターで特に目立った。ハイテク株が多いナスダック総合指数は2月半ば以降、7.5%下落した。原油価格も下落している。一方、資金の逃避先とみなされる金や米国債は上昇している。

 トゥルーイスト・アドバイザリー・サービシズのキース・ラーナー共同最高投資責任者(CIO)は「関税は『はったり』に過ぎないと多くの人が思い込んでいたようだが、今はそれに関して不透明感が高まっている」と述べた。

 米国株は昨年、年間上昇率が2年連続で25%近くに達した。投資家は現在、その背景となった状況が大きく悪化しているかどうかを見極めることに苦慮している。米国株が今年も同じような好調さを維持できるとみていたアナリストは極めて少なかったものの、上げ基調は継続すると大半が考えていた。

 今回の景気不安については、ここ数年に起こった他のできごとよりも悪いものではないと確信している向きが多い。現在脅威として映っているものをそれほど警戒する必要はないとの見方もある。なぜなら、脅威の原因となっているのは政府の政策であり、それはトランプ氏が過去にそうしたように、一瞬で覆せるためとの理屈だ。