「出来過ぎ」の弟を前に
弱り顔の北村匠海、たまるかー
失格になったものの、走ったとき風になったような気がして気持ちが良かったと言う。結果的に傷つけてしまったことを嵩は反省していた。
と、そこへ、千尋(中沢元紀)が現れて、賞品のラジオをのぶに渡す。千尋が繰り上げ優勝したので譲ってくれたのだ。「元気100倍だね」と言いながら、「出来過ぎ」の弟を前にますます立場のない嵩。北村匠海の眉を少し八の字にした弱った顔がたまるかー。
ラジオをもらって大喜びののぶ。近隣の人たちとラジオ体操をはじめた。子どもたちとラジオ体操をしているうちに、のぶはやりたいことが見つかった。それは――教師だった。
なかなか唐突な展開だが、「青天の霹靂」という言葉のように、急に思いつくことはあるものだ。
教師になろうと思った時、のぶは小夏の表情を思い浮かべる。いまいる男の先生のように頭ごなしにおなごは出場禁止とか失格とか言わず、子どもたちにもっと可能性を開いてあげたいと思ったのではないだろうか。
さっそく釜次(吉田鋼太郎)に学士師範学校に行きたいと頼むが、「いかん いかん いかん」とものすごく大きな声で反対された。早く働いて羽多子(江口のりこ)に楽をさせてあげないといかんと言うのだ。それはごもっともである。
舞台俳優・吉田鋼太郎が腹から声を出して、ガンとして動かない巨大な石のようにのぶに立ちふさがるが、羽多子、蘭子(河合優実)とメイコ(原菜乃華)も次々頭を下げて頼み込む。そこで、蘭子が結太郎(加瀬亮)の帽子をかぶって、さらにメイコがその帽子を釜次にかぶせる、感動の連携で、たちまち釜次はほだされてしまった。
この時の釜次、結太郎の帽子がよく似合っていた。毅然と帽子をかぶる蘭子と、おじいちゃんにとびきりの笑顔で帽子をかぶせるメイコ。ふたりの妹の個性もよく出ていた。