
『アンパンマン』の作者・やなせたかしとその妻・暢をモデルにした朝ドラこと連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)が快調だ。第1、2週は主として子役週で、第3週からは成長したのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)が本格的に活躍する。今田美桜のインタビューに引き続き、北村匠海のインタビューをお届けする。(聞き手・構成/ライター 木俣 冬)
朝ドラ出演のオファー
音楽活動との共通点とは?
北村匠海は俳優でもあり、DISH//という4人組バンド活動も行う。さらに最近は短編映画『世界征服やめた』で映画監督もつとめた。このようにクリエイティブなところがやなせたかしをモデルにした柳井嵩役にピッタリなのではないだろうか。
北村は子どものときから絵を描くのが好きで、美大に行きたいと思ったこともあったという。やなせタッチの絵や文字の練習にも余念がない。
クリエーターやアーティストというと、孤高の人というイメージがあるが、北村は自身の表現に固執することなく、会見でもさりげなく今田をフォローするなど周囲に気配りがある。北村が仕事をするうえで、または他者とコミュニケーションをするうえで、心がけていることを聞いた。今田を涙させたという、やなせたかしと妻・暢とのいい関係性の話はぐっとくる。
――まず、朝ドラヒロインの相手役、かつ著名な作家・やなせたかしさんをモデルにした役のオファーを受けた時のお気持ちを教えてください。
(北村匠海さん)役者であれば朝ドラや大河ドラマは目標のひとつですから光栄でした。と同時に、僕は役者だけでなく音楽活動もやっているため、朝ドラの長期の撮影に集中できるだろうかと迷いも浮かびました。
でも、チーフプロデューサーの倉崎憲さんが僕の音楽活動で表現している考え方とやなせさんの哲学とが合うのではないかとオファーしてくださったと聞いて、チャレンジしてみようと思いきることができました。