「三省堂 辞書を編む人が選ぶ 今年の新語2024」で「言語化」が大賞に選ばれるなど、「言語化」という言葉を耳にすることが増えた。「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」のどれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、話題の書籍「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の著者・山口拓朗氏が、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

「しなければならないこと」に埋もれないように…
仕事や生活の中で「しなければならないこと」に追われている人が少なくありません。しかし、幸せを感じるためには「自分が本当にやりたいこと」を大切にすることが重要です。その第一歩として、「小さなやりたい」を言語化し、可視化してみましょう。
①やりたいことを書き出す
大きな夢や目標ではなく、今この瞬間にやりたいことを紙に書き出してみましょう。たとえば、「ゴロゴロしたい」「イカスミパスタを食べたい」「映画を観に行きたい」など、どんなに小さなことでもOKです。書き出すことで、自分の気持ちを明確にし、実行しやすくなります。
②言葉にすることで行動につながる
やりたいことを言葉にするだけで脳のアンテナ感度が高まり、それに関連する情報が集まりやすくなります。たとえば、「夏休みに台湾に行きたい」と書いたら、無意識に旅行情報を検索したり、台湾グルメの特集を組んだ雑誌を手に取ったりするようになります。こうした行動が、やりたいことの実現を後押しします。
③「やらなければならない」に埋もれない
「家族のために我慢する」「時間がないから諦める」といった理由で、自分のやりたいことを後回しにしていませんか? 自己犠牲ばかりでは、心がすり減ってしまいます。自分がどんな「やらなければならない」に囲まれているのかについても、いちど紙に書き出してみましょう。そして、もし不要と感じたなら、その文字にバツ印をつけて手放してみましょう。
④欲を適切に満たす
欲そのものは悪いものではありません。「もっと休みたい」「誰かに認められたい」「もっときれいになりたい」などの欲を押し殺し続けていると、ストレスが溜まっていきます。欲は、適切に言葉にしたうえで、バランスよく満たしていくことが大切です。
自分をご機嫌にすることが、幸せの第一歩です。小さなやりたいことを言語化し、少しずつ叶えていく習慣をつけてみましょう。それが、日々の充実感や前向きな気持ちにつながります。まずは、今この瞬間の「やりたいこと」をひとつ書き出してみませんか?
*本記事は、「『うまく言葉にできない』がなくなる 言語化大全」の著者・山口拓朗氏による書き下ろしです。