それまで続いてきたディスインフレ(物価上昇が鈍化する状態)の社会では、インデックス運用が最適解で心地よさも感じたことでしょう。しかし、インフレ社会へのパラダイムシフトが発生すると、事情は一変します。
インフレの進行に伴い、真っ当な銘柄選択を実践するアクティブ運用がインデックスを凌駕する成果を上げやすい環境が整ってきているのです。インフレ時代にアクティブ運用がインデックスに大きな差をつける背景について、次で詳しく説明したいと思います。
インフレ下では企業の実力差が際立ち
“優勝劣敗”が進む
インフレが進むのは当たり前という状態の社会構造に変わると、産業界においても“優勝劣敗”の色彩が濃くなってきます。ディスインフレ社会ではインデックス運用が心地よかったように、ダメな会社も相対的に大きくは業績が低迷せず、どうにか生き延びられました。
そして株式市場全体に余剰マネーが流れ込むことで株価が全体的に上昇して、ダメな会社であっても経営努力が必要だという意識は働きにくくなります。
ところが、物価の上昇が大前提となる社会に移行すると、今度は企業の実力差が株価にも大きく反映されるようになります。
インフレ下で圧倒的に強くなるのは、自社が提供している商品・サービスの価格支配力がある会社です。
物価上昇でコストが増加しても価格に転嫁でき、需要があるので売れ行きが鈍ることもありません。インフレが進んだ分だけ売り上げが拡大し、利益も嵩上げされていきます。そういった情勢を反映し、株価も上昇しやすくなります。
一方で、インフレは普通以下の会社に対して、非常に厳しい逆風として作用します。下手に価格転嫁を行うと売り上げが低迷する恐れがあることから、収益力が劇的に低下し、最終的には持続可能性を失って淘汰されかねません。
こうした産業界の“優勝劣敗”こそ、骨太のアクティブ運用がインデックスに大差をつける要因となってきます。緻密な分析に基づいて強い会社を選び抜いてきたことが結実し、インデックスを凌駕するようなリターンを顕在化させる日が早晩訪れるでしょう。
QEからQTへの転換も
アクティブ運用の追い風に
だからこそ、インフレ時代に本格的な「資産運用立国」を目指すうえで最も必要なのが長期投資の骨太アクティブ運用ファンドであると、声を大にして申し上げたいと思っています。