デフレからの脱却を図って日本銀行は「量的金融緩和」と呼ばれる政策を進めてきましたし、米国の中央銀行に相当するFRB(連邦準備制度理事会)もコロナ禍で同様の手を打ちました。

 いち早く米国は「量的金融引き締め」に転じ、インフレ鈍化を受けて2024年秋以降は金融緩和(利下げ)を実施しています。

 すっかり周回遅れとなっていた日本も、ようやく「量的金融引き締め」のフェーズへと進みました。なお、英語で表現すると「量的金融緩和」はQE(Quantitative Easing)で、「量的金融引き締め」はQT(Quantitative Tightening)といいます。

 このQEからQTへの転換は、インデックス運用からアクティブ運用への主役交代を暗示しています。

 QE時代には世の中に出回るお金の量が増え、もっぱらその受け皿になったのが株式市場でした。そして、株式市場へ資金を投じるための手段として主に選択されたのがインデックスだったのです。なぜなら、個別銘柄を精査して選りすぐる手間がかからず、手っ取り早く運用を進められるからです。

機関投資家の売却により
インデックス全盛期が終焉

 公的年金の原資を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を筆頭に、世界中の機関投資家がこぞってインデックス運用を中核に位置づけました。その結果、いい会社とダメな会社が十把一絡げとなって、指数が顕著に上昇したわけです。

 逆にいえば、いい会社が高く評価され、ダメな会社は低く評価されるという資本市場に求められる本来の役割がうまく機能しなくなっていたということになります。優良企業を厳選してインデックスをしのぐ成果を目指すというアクティブ運用にとってはまさしく逆境だったのに対し、インデックス運用は全盛時代を迎えていました。

 しかし、QTへの転換によって風向きが反転する局面が訪れています。世の中に出回りすぎた資金を中央銀行が回収することは、機関投資家がこれまで投資してきた資産を現金化する動きにつながります。

【投資のプロが公言】インデックス投資は終焉、インフレ時代だからこそアクティブ運用をするべき納得の理由『ほったらかし投資はやめなさい』(中野晴啓、宝島社)

 機関投資家の売却によって、インデックスには大きな下げ圧力がかかります。つまり、これまでとは逆回転が生じ、インデックス全盛期が否応なく終焉するということです。

 反対に、こうした転換が追い風として作用するのがアクティブ運用です。市場全体が下げている局面でも、個別に目を向ければ、いい会社であることが評価されて“逆行高”を遂げる銘柄さえ存在しています。

 しかも、長期投資を前提に長く強い会社であり続ける銘柄を厳選していれば、インデックスがどのように推移しても本源的価値に株価は長期的に回帰していく特性から、安定的な成果を大いに期待でることでしょう。