スマホ、ネット、SNS……気が散るものだらけの世界で「本当にやりたいこと」を実現するには? タスクからタスクへと次々と飛び回っては結局何もできない毎日をやめて、「一度に1つの作業」を徹底する「一点集中」の世界へ。18言語で話題の世界的ロングセラーの新装版『一点集中術――限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』より、特別に一部を紹介する。

「忙しいのに成果が出ない人」と「のんびりなのに結果を出せる人」たった1つの違いとは?Photo: Adobe Stock

忙しくすることで「自分は重要だ」と思いたがっている

 現代の文化には「より多くのものごとをこなす」ことを重視する風潮がある。そして奇妙にも人は自分を疲弊させ、すり減らすことで「自分は重要な人間だ」という認識をもとうとしている

 作家のローラ・バンダーカムが指摘しているように、「多忙」であることと「自分は重要な人間であるという認識」には、強い相関関係がある。「過労と睡眠不足を嘆いてみせることで、自分がちゃんとやっているということを周囲に示したいのだ

 だが、どうやら、いくつかの基本的な事実がすっかり忘れられているようだ。

 たとえば、時間の使い方を少し変えれば、ライフスタイルに大きな変化をもたらし、充実した1日をすごせるようになることを思いだそう。

結果を出す人は「ごくわずかな重要なもの」に集中する

 ジョセフ・ジュランはジョセフ・デフェオとの共著『ジュランの品質ハンドブック(Juran's Quality Handbook)(未邦訳)のなかで、「重要な少数(バイタル・フュー)の法則」として「重要なものはごくわずかしかない」と説明している。

 いわく、質の高い仕事をする鍵は「些末な多数(トリビアル・メニー)」と「ごくわずかな重要なもの(バイタル・フュー)」を区別することにある。

 そのためには、自分のタスクをていねいに見なおし、最重要のタスクと、とりあえず後回しにできるものとを区別するとよい。

 最重要のタスクをすべて終えたら、後回しにしたタスクを再度、見なおす。そして、着手すべきタスクなのか、あるいは、そもそも不要なタスクなのかを見きわめるのだ。

「バイタル・フュー」の地位を獲得できるタスクは何だろう? タスクの優先順位は必ずしもぱっと決められるものではないので、じっくりと考えてみてほしい。

(本記事は、デボラ・ザック著『一点集中術――限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』からの抜粋です)