距離ができるのは“当たり前”? 人とずっと仲良くできない理由を「線の話」で説明します
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人との距離は、基本的に「離れていくもの」
今日は、「人との距離は、基本的には離れていくもの」というテーマでお話ししたいと思います。
「最初はうまくいっていたのに、最近なんだか関係がギクシャクしてきた」――そんな経験、誰にでもありますよね。これは人間関係だけでなく、会社や組織との関係にもよくあることです。
たとえば、「この会社、いいな」と思って入社したのに、しばらくすると「なんだか価値観が合わない」と感じるようになる。そういったことも珍しくありません。
2本の線の関係にたとえると
これは当たり前の現象なんです。たとえるなら、2本の平行ではない線が一時的に交わったとき、そこが最も近づいたポイントです。
でも、そのまま放っておくと線はまた離れていきますよね。つまり、ずっと同じ距離感を保つことは、実はとても難しいのです。
人間も同じで、もともと考え方や価値観が異なる以上、一時的に近づいても、次第に距離が開いていくのは自然なことなのです。
離れていくのは「悪いこと」ではない
人間関係において、「うまくいかなくなった」「距離ができてきた」と感じることを、必要以上に重く受け止める必要はありません。
あなたに何か欠点があるとか、相手が悪いという話ではないのです。人は本来、離れていくものだからです。
むしろ、自分の考えをしっかり持って行動していれば、どこかでズレが生じるのは自然な流れです。
距離を保つには「平行」であることが大切
では、どうすれば人との距離が離れすぎず、安定した関係を築けるのでしょうか。それは、「平行であること」です。
平行とは、お互いが同じ方向を向き、一定の距離を保ちながら進んでいくことです。最初から近い距離で平行に進んでいれば、その距離感はずっと変わりません。
この「一定の距離」が、人間関係における安定のポイントなのです。
「近すぎる関係」はリスクもある
距離が近づきすぎると、逆に離れるスピードも早くなってしまう可能性があります。だからこそ、あらかじめ関係性に応じた適切な距離感を保つことが大切です。
親しい関係なら少し近め、ビジネス上の関係ならもう少し距離を置く。そうして自分にとってちょうどいい距離を維持する意識が必要なのです。
人は「直線」ではないから方向も変えられる
人間は直線ではありません。つまり、考え方や向きは変わっていくものです。ですから、いったん距離が開いたとしても、また同じ方向を向けることもあるのです。
そのとき大切なのは、自分の軸をぶらさず、必要な距離感を見極める力です。
「ここまでは譲れるけど、ここからは譲れない」という、自分のルールをしっかり持つことが、適度な距離感を保つ秘訣です。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。