意思決定の振り返りで
事後に見えてくることもある
プロセスを振り返ることで次の検証の精度を上げることができ、実施した選択を振り返ることでいまの状況についても肯定的にとらえ直せることもあります。
実際に、ユーザベースおよびミーミル(編集部注/両社には筆者が役員として所属している)における最終面接でも、とくに業界未経験者や組織文化が大きく異なる企業の経験者など、経験にギャップはあるけれどポテンシャルが期待できる候補者について「中長期でなりたい姿」や「個人としてのミッション」「仕事を選択していくうえでの軸」などを質問します。

川口荘史 著
これらを言語化するプロセスをつくることで、未経験候補者が入社後に想定される仕事上の困難や想定とのギャップがあったとしても、原点を確認し、「自分がここにいる理由」をもとに、ぶれることなく乗り越えることができると考えるからです。
これは当時の意思決定を振り返ることによって、今を正当化する(もしくは正当化できないときは別の機会を模索する)といったプロセスになります。もちろんこうしたことは時間の経過とともに変化することがありますが、その変化も自覚して逆に「自分がここにいるべきではない」と確信できれば、それはそれでよい機会となります。
執行プロセスについて改善ポイントを振り返ることはあっても、意思決定自体を振り返ることは少なく、意識しないと難しいです。振り返りは、意思決定プロセスの解像度を高め、次の決定の精度を上げてくれます。「そのとき、どのような状態だったのか」を振り返ることで、意思決定中は感情と理性のぶつかりもあって冷静に見えなかったものが、事後に見えてくることもあります。