よい意思決定のためには、選択肢をたくさん用意し、情報を持ち、情報を見る目のために経験や専門性を習得していく必要がありますが、そうしたものは最初から身についていないことが多いでしょう。

 一方で、こうした知識や経験がなくともできる意思決定の向上の方法が「振り返り」です。

 これは、企業でも個人でも重要です。

 企業では意思決定後の検証が行われていることが多いですが、とくに長い時間軸の検証は、経営陣や意思決定者が変わってしまうなど、おざなりになっていることもあります。個人では、この振り返りはほとんどされていないでしょう。だからこそ、意識しておく必要があります。

 個人は、自分なりに考えて決めたつもりでも、事業で意思決定をするように比較検討したり、さまざまな声を集めたり、客観性を持って情報を見て、仮説検証を十分高い精度で行うわけではありません。

 企業活動であれば、投資対効果を検証したり、新しい施策の成果や進捗を計測したりして、これらを踏まえて追加投資や提供拡大など次のアクションを決めたり、あるいは取り組みを停止したりなどの意思決定がなされていきます。

 しかし、これは個人でも、すべての意思決定において適用可能なはずです。たとえば、転職をした際に、転職した会社がどうも自分と合ってないのではないか、と感じたとしましょう。そのときに想定とどのようなギャップがあったのかを確認することで、再度転職すべきという意思決定をしたり、次の転職の際に確認すべきポイントをクリアにできたりします。

 また、年収が上がったけれどどうも楽しくない、というときには、自分のキャリアや人生においてなにが重要だったのかを改めて考えることができます。

 こうして次の転職の意思決定を行ったり、自分自身の意思決定の軸をクリアにすることができます。あるいは、入社当初はギャップや困難を感じていたけれど、自分はこの転職先でもっと仕事をやっていくべきという考えに至る可能性もあります。