
いつか起業をしたい、社内で新規事業を立ち上げてみたい…。そんな人は、「絶対成功するアイデア」にこだわりがちだが、事業の成功を左右するのは「アイデア」そのものでは決してないのだという。では、成功のために必要な要素とはなんだろうか。起業と経営のプロフェッショナルが詳しくレクチャーする。※本稿は、川口荘史『ビジネスリーダーのための意思決定の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
社内新規事業における
意思決定の難しさ
企業内の新規事業担当は、多分に社内の意思決定に付随する事象にリソースを割くことが求められます。新規事業がどのように他の事業の影響を受けないようにできるか、リソースを他に取られないで済むか、取り組みを持続性ある形でトライできる座組を組めるかを重視します。
他の主要事業がある場合は、複雑な意思決定を効果的に動かすことができれば、単体の起業ではできないことを早期に実現できる可能性も秘めています。
一方で、とくに大企業の新規事業などは、オーナーによる主体的な意思決定がしにくい状況にあることがいちばんの難しさであり、実はリソースの配分以上に困難さをもたらします。
本業の調子が悪くなったために投資が止まったり、投資優先順位の変化によって新規事業担当者やメンバーが異動したり、社長や担当役員の交代で停止したり、新規事業へのリターン設計や評価について既存社員から不満が出たり、担当者からするとアンフェアであったり、自分の意思決定権限を超えたハードルがさまざまに生まれていくことが非常に難しいのです。