「人生において後悔したことはなんですか?」と聞かれたときにいちばん多い回答が「勇気を出して、もっと自分に忠実に生きればよかった」だそうです(『DIE WITH ZERO』/ピル・パーキンス著)。これは、自らを人生のオーナーであると認識していたとしても、知らずしらずのうちに意思決定をするべき時機と、事象を逃したということでしょう。

「自分が決める」という意識で
物事の見え方が変わる

 主体的な意思決定とは、自分で決めているといえることです。その状態になるためには、まず、議論・検討・提案を他人任せにせず、「決める」ことを明確に意識することです。

 誰かが決めてくれる、決めるための意見を出す、誰かの提案の通りに決めると考えるのではなく、「自分が決める」と思って情報をとらえると、その情報の見え方が大きく変わります。

 また、決めることと、提案や議論をすること自体も大きく異なります。決定すべき事象について多角的に語って説明できる人でも、いざ決めるとなると躊躇したり決められなかったりすることが少なくありません。

 決めたことをあとから批判することは誰にでもできますが、決めることのつらさは当事者しか分からないでしょう。新任リーダーは、最初この「自分が決める」意識と強度が持てずに戸惑うことも多い。決める自覚を持つことは、難しいことなのです。

 意思決定者であるか、そうでないかには、本当に大きな違いがあります。「決める」ということの認識とオーナーシップを持ち、結果に責任を持つことも強く認識しておきましょう。

「振り返り」をすることで
意思決定の精度が上がる

 最後に重要なのが「振り返り」です。

 意思決定の精度は、どのようにしたら高めていけるのでしょうか。自覚し、決めるべきときに決めることができたというのは第一歩ですが、ポイントが「分かっている」と振り返りもできます。意思決定を自覚しているからこそ、何度も繰り返していくなかで意思決定のプロセスや精度を向上していけるはずです。