それに対して、システムの不備などをチェックして未然に情報流出を防ぐ役割を果たすホワイトハッカーを日本の政府がきちんと養成できているのか、というと現状はすこぶる不十分だと言わなくてはなりません。日本はそうしたリスクヘッジが、非常に弱いのです。

 このような政府が推進しようとしていることを、すっかり信用しろというほうが間違いだと、私は思います。

 マイナンバーカードに銀行口座のような、自分の生活がかかっているものを紐付けてしまうのは、きっと危険がともなうだろうと思うのです。現にそうした事例は、アメリカのカリフォルニアあたりで頻発しているといいます。

最悪の事態を想定して
最善の手を打つ

 知らないうちに自分の銀行口座がハッキングされて、いつの間にか、どこか知らないところへ送金されてしまった、という事例がこの頃しきりとアメリカでは報告されていると聞きます。それが日本では起こらないなどと考えるのは、よほど能天気な話ではないでしょうか。アメリカで起きていることはいずれ日本でも起きる。これがまっとうな考えかたです。

「最悪の事態を想定して最善の手を打つ」というのが私の生き方です。

 銀行口座から勝手に預金を引き抜かれるなどということが起こったら、もう取り返しがつきません。

 そのような被害が起きているのは、やはり銀行口座をインターネットに接続している人たちです。銀行口座から現金で出し入れしているだけなら、ハッキングのしようもない。自宅にいながらお金の出し入れができるインターネットバンキングは確かに便利ですが、それはハッキングによって他人に盗まれるリスクと表裏一体ということを常に考えておかないといけません。

 じつは、私も一時インターネットバンキングを利用していましたが、今は取りやめました。面倒だけれども、大きなお金の出し入れは、わざわざ足を運んで、銀行の窓口でしています。ハッキングなどでお金を盗られたときにどのようにして取り返すかを考えたら、銀行へ出向いて窓口で手続きする面倒など、なんでもありません。

 ともあれ、最悪な事態を考える。

 便利な時代は、恐ろしいリスクと常に表裏一体。

 それを取り扱うのが、日本政府のいい加減な官僚組織だと思うと、マイナンバーカードを銀行口座に紐付けよう、などということは、私には、とても考えられません。