
キャッシュレス決済が全盛の昨今において、ベストセラー『節約の王道』の著者である林望氏はあえて「現金主義」を貫いているという。ネットバンキングやクレカは断じて使わない著者が説く、独自のマネー哲学とは?※本稿は、林 望『節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
便利さをとるか
リスクをとるか
国の政策として、マイナンバーカードの普及とキャッシュレス決済の利用拡大を図るために、手続きをした人に一定のポイントを付与するという政策をとっていました。なかなか普及しないから、複数回にわたってたくさんのポイントを付与していたようです。
もしほんとうにそれが便利なものなら、そんなに苦労してポイントを付けなくても、自分からマイナンバーカードに切り替えると思うのですが……。
それはともかく、私は自分のマイナンバーカードには、一切何も紐付けていません。
ただ身分証明書の代わりとして持っているだけで、保険証はともかくとして、今後も銀行口座などに紐付ける気は毛頭ありません。
というのは、やはり「信頼しがたい」という気持ちがあるからです。
世の中の情勢を見ていると、どれだけ頻回に個人情報が流出していることか。企業や公共機関のシステムに侵入して情報を盗むブラックハッカーという存在が、年がら年中ハッキングをしているらしい、それが遺憾ながら現実です。聞くところでは、某国家が関与して、銀行や企業のサイトに侵入している、そんなことも仄聞しています。